オムロン、サイバーダインと描く"生産革命" センサーとロボット技術を融合

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具体的な時期については未定としつつも、「基礎技術はできている。4~5年をメドに開発を進めていきたい」(山海社長)としている。

一方、オムロンの山田社長も「われわれは工場のオートメーションを進めているが、本当に細かい部分は結局熟練の技術者が行っている。だが、そうした生産現場で問題となっているのは技術者の高齢化と後継者問題や技術継承。われわれの技術を使ってその問題を解決していきたい」と自信を見せる。

 医療分野への応用も

そして、もう一つ期待されるのは他分野への応用だ。オムロンは血圧計や体組成計などの家庭用の計測機器を手掛けている。こうした製品とサイバーダインの技術を掛け合わせることで医療分野での新製品を作る考えもあるようだ。「これから家庭や生活の中での健康管理が重要になってくる。われわれがもつバイオセンシング技術を磨き上げれば“家にいればいるほど健康になる”システムを作ることが出来るようになるだろう」(山海社長)。

密接に技術共有をしていく旨を強調する一方、今回は事業提携や資本提携といった形を取らず、あくまで「事業を両社で進めていくことへの合意」にとどまっている。今後も出資や合弁は考えておらず、販促や保守サービスについても独占形態を取らないという。「今回の合意の趣旨は両社の優れたところを持ち寄ってよりよいモノを作るという所にある。互いに縛り合ったり、独占権を要求するといった事はない」(山田社長)。

会見の最後、山海社長は「今回の合意の良さはセンサーとロボットという異業種連携であるということ。お互いが補完し合う状況。やればやるほど新しいモノが出てくると考えている」と強調した。1933年から80年以上センサー技術を積み上げてきたオムロンと04年創業のベンチャー企業であるサイバーダイン。分野も歴史も違う両社が今後何を生み出していくのか。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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