2015年、激変のマンション市場はここだ! 濃淡クッキリ!浮かぶ「日本橋」、沈む「湾岸」

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最後は、かつて「ビックマーケット」と言われた千葉・柏エリア(松戸~我孫子)を見てみよう。

つくばエクスプレスに押される常磐線沿線

常磐線沿線の人気上昇を映して、2007年までは年1000~1500戸ものマンション販売実績があった。2008年のリーマンショック以降は年200~300戸にとどまっていたが、2013年からは販売が回復傾向にある。

つれて、平均単価も2013年に179.3万円と前年に比べて15%も上昇。2014年も平均単価188.7万円と高水準だった。

エリアの中心となる柏駅はJR常磐線の快速電車停車駅で、東武野田線との乗り換え駅でもある。駅前に大型の商業施設が隣接し、常磐線と東武線の両線から人を運んでくる。こういった利便性や集客力の高さが、消費者に認識されたようだ。

つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅前は再開発により人気が上昇(撮影:尾形文繁)

反面、ライバル沿線との競争が年々激化している。2005年に開通したつくばエクスプレスは、沿線の開発が進み、今では柏の葉キャンパス駅や流山おおたかの森駅周辺は、多くの若者でにぎわうスポットに変貌している。

ライバル沿線の活気に押されるかのように、常磐線沿線の人気が徐々に下がってきている。「足元の販売の動きは鈍くなってきた。価格を上げると、とたんに売れなくなる」(業界関係者)。2015年は両沿線の競争の行方に注視する必要がある。

2014年は首都圏全体で、人気エリアにほぼ共通の特徴があった。(1)エリア内で大型開発が進捗していること、(2)ターミナル駅、快速停車駅など「駅力」があること、(3)「教育水準が高い」などエリアのブランド力が認知されていること、である。また、駅から近い物件と遠い物件で価格の乖離が大きくなるなど、好不調物件の二極化も鮮明になった。

2015年は、史上最低の金利水準が続くなど購買環境は悪くないはずだが、景気の浮揚感不足が逆風となり、消費者の選別姿勢はいっそう強くなりそうだ。「沿線人気のあるエリアの物件や、駅に近いなど好立地にある物件は購入希望が集中するが、そうでない物件は消費者も無理して買わないだろう」と、杉原氏は見る。二極化傾向はさらに進みそうだ。

梅咲 恵司 東洋経済 記者

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うめさき けいじ / Keiji Umesaki

ゼネコン・建設業界を担当。過去に小売り、不動産、精密業界などを担当。『週刊東洋経済』臨時増刊号「名古屋臨増2017年版」編集長。著書に『百貨店・デパート興亡史』(イースト・プレス)。

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