老朽化マンション、これが究極の修繕だ! 相場の2倍以上!1戸245万円の負担は高いのか
「ここまで手を加えた大規模修繕は極めてレアケース」
建築士の小野富雄さんは証言する。神奈川県大和市にある築35年のマンション「つきみ野ビレジCブロック」(91戸)。小野さんが担当した、このマンションにとって3度目の大規模修繕工事のことだ。
日本全国で600万戸、1400万人が暮らす分譲マンション。特に都市部での需要は旺盛だが、マンションが一般的な住まいになるにつれ、「経年劣化」という課題がクローズアップされてきている。現在、約600万戸のうち100万戸超は築30年以上で老朽化しており、今後はさらに増える。
住まいの資産価値を守り、気持ちよく住み続けるためには、適切なタイミングでの大規模修繕工事が欠かせない。つきみ野ビレジCブロックは、そのモデルケースの一つだ。外壁は耐久性の高いフッ素樹脂塗料で塗り直し、共用廊下の手すり部分には雨垂れ汚れを防止するカバーを取り付けた。これまで各戸がおのおの設置していたエアコン室外機の架台も、デザイン性の高い全戸共通の品に切り替えた。
窓の改修が喫緊の課題
極めつけは、高断熱・高気密のLow-Eガラス。小野さんによれば、全住戸の窓をこの高機能ガラスに刷新した例は、国内でも非常に少ないという。
大規模修繕の総額は2億2370万円。そのうち、7200万円は住宅金融支援機構からの借り入れで賄った。1戸当たりの修繕費は約245万円。相場の2.5倍近い金額だ。それだけに、計画を立案した当初は、住民から「借り入れをしてまでやることはない」という意見も出た。
だが、竣工から35年が過ぎ、マンション内の多くの箇所で不具合が生じていた。特に、窓は多くの住民にとって喫緊の課題だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら