クボタ、大型農機で欧米市場に切り込む フランスに工場建設、需要増でさらに新設も

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「3年後に売り上げ2兆円を目指す」と語る木股昌俊社長(撮影:今井康一)

――大型用の生産拠点として立ち上げたフランス工場の能力は足りるのか。

当面の生産能力は年産3000台。欧州向けが半分で、あと北米や豪州だが、今の受注状況を見ると、満たせるような台数ではない。となると、欧州でさらに大きな工場を作るのがいいか、それとも市場の半分近くを占める米国に作る考え方もある。もともと、欧州と米国のトラクターは、農業の形態が多少違うのにあわせたように、若干規格が違う。双方の需要が増えるのなら、工場は欧米それぞれに分けた方が効率がよい。

――前社長の時はタイや中国などアジアへの進出案件が多かった。今後は畑作で欧米など、先進国進出に軸足が移る。

もともと国内で培った稲作、水田関連の農機で中国、アジアに進出した。ある程度の道筋がついて、次は欧米の畑作となったが、アジアの畑作をやってないわけではない。中国はとうもろこしや小麦など米以外の作物を刈り取るコンバインを販売しており、タイも大きなさとうきび畑があり、専用の作業機を出している。とはいえ、欧米の畑作は今のクボタにとって伸びしろが一番大きいところであることは確かだ。

――250馬力のトラクター商品化はいつ頃に。

2017年にはディーラーに「こんな姿、形になるよ」と披露できれば、と考えている。そこでフルラインがそろう。生産や供給は2018年以降になるだろうが、早くお見せしたい。さらに、その上のクラスになると、今までとは違うディーラーになるので、一から販売網を作らなければならなくなる。

3年後の売り上げは2兆円を目指す

――農機、エンジン、建設機械の機械事業の他に、クボタには水道管や水処理施設などの水・環境事業がある。

水・環境事業もインフラ作りを進めているアジアで伸ばしていく。国内は、老朽化した上下水道設備の更新や耐震化など、強い要請はあるものの、なかなか予算がつかないのが現状だからだ。

――今後の成長のイメージをどう考えているか。

次の中期計画は3年か、5年を考えている。3年であれば2018年3月期に売上高2兆円(2014年3月期は約1.5兆円)、5年であれば2020年3月期に2.5兆円のイメージでやってみたい。

――前社長はトップダウン型だったが、舵取りの仕方は変わるのか。

事業の方向性は変わらないが、進め方はまねできない。幹部や社員らと一緒にアイデアを出し合って話し合い、士気を高めながら、事業を進めていくというのが、私のやり方だ。

「週刊東洋経済」12月27日‐1月3日号(12月22日発売)「この人に聞く」に加筆)

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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