筆者が目視で確認したところ、渋谷周辺の駐車場は満車になっていることが多く、都心部でより多くの駐車場を早期に獲得できるか否かが事業上の最大の肝となりそうだ。
駐車場を確保できれば、あとはアプリのプロモーションをしっかり進めることで数字が見えてくるわかりやすい事業だ。
実際、都内の駐車場料金は高い。富裕層でない限り、山手線の内側に住んでいて車を持とうとは思わないだろう。山手線の内側では月極駐車場でも5万円以上かかってしまうことがザラだ。「あきっぱ!」の利用も、郊外に住むユーザーが都心で駐車場を探すというシーンが圧倒的に多いという。
都心の土地の高さゆえか、大手駐車場事業社の事業構造ゆえか。とにかく割高な都内の駐車場市場を「あきっぱ!」がブルドーザーの如く破壊していってくれると、今後に期待したい。
【梅木雄平のスタートアップチェック】 (各項目を1~5で採点)
●経営陣:4.0 代表取締役の金谷氏は光通信系出身の営業マンながらに、事業選定時には市場規模の大きさに重点を置く戦略性もある。営業力の強い組織を作り上げ、ゴリゴリと事業を推進する力に期待したい。
●市場性:4.6 市場規模は3.5兆円で業界首位のTIMESで年商約1300億円。今まで紹介したスタートアップサービスが狙う市場と比較しても規模は大きい。収益構造の違いによる価格破壊で業界に参入したが、駐車場料金が従来の半分の価格に下がったとしても、規模は十分に見込める。
●利益率:3.9 現状のマージンは30%と、シェアリングサービスの中では一般的な利益率といえる。ただ、低価格で始めていることもあり、インフラ化した後に値上げすることで利益率を上げることが可能な事業だと推測。
●競合優位性:4.2 営業力を活かして比較的スムーズに立ち上げた事業といえるが、参入障壁がさほど高い事業ではなく、LINEなどほかのインターネット企業が参入する可能性は十分ある。営業力とマーケティングでいかにスピーディな展開ができるかが鍵。
●海外展開力:- 現段階では海外展開の話はないため据え置き。
●総合点:4.1 シェアリングエコノミー銘柄の中では手堅く売り上げを上げられ、それなりにスケールしそうな印象を受けた。2015年中に「あきっぱ!」のテレビCMを見る機会があり、社会的インフラとして定着するか否か楽しみにしたい。
●予想EXIT:2016年末に上場
●EXIT時推定時価総額:約100億円
●推定根拠:下記のロジックを元に、マッチングサービスであるがメディア事業と捉えPERを50倍程度と推測。月間成約数をいかに早く伸ばせるかにかかっている。
月間成約数:15万件
平均成約単価:1000円
月商:1.5億円
年商:18億円
粗利:5.6億円(マージン約30%と仮定)
営業利益:約3億円
当期利益:約2億円
(撮影:今井康一)
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うめきゆうへい
慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
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