「結婚相談所に入会して結婚相手を見つけた人が、同じテニスクラブ内に2人もいたのです。『お前もその手しかないよ』と言われ、サクラが多いパーティよりはいいかなと思って都心にある相談所に行ってみました。
オレの好みは、同世代もしくは年下で、スポーツをやっていて明るい性格の人です。相談所の人に伝えると、『こんな方がいますよ。会ってみませんか?』とその場ですてきな女性の写真とプロフィールを見せてもらいました。彼女に会うには入会しなくてはいけません。年会費の36万円を一括で入れました」
その女性こそがサクラではないのか、と不安になるようなエピソードである。実際に入会してみると、その女性も含めて「自分がいいなと思って申し込むと断られる」ことが多かった。断るときはWEB画面上の「今、気になる人がいます」「私の希望に合いません」などの選択肢から適当なものを選ぶだけでよい。外見を含めた条件がよい人には申し込みが殺到するため、断りやすいシステムになっているようだ。
幸運は、「弱いつながり」を頼れる人に訪れる
それでも明弘さんは5人の女性と会うことができた。しかし、デートを重ねていた女性と急に連絡が取れなくなることもあり、「ネット上の自由恋愛」に近い婚活システムとの相性の悪さを感じ始める。
「年に2回ぐらいしか会わないテニス仲間に会ったときに、結婚の話になりました。『実はオレ、婚活をしているんだ。でも、全然うまくいかなくて困っている』と話したら、『彼女に聞いてみようか。結婚したい友だちがいるかもしれない』と誘ってもらえました。『ぜひお願いするよ』と即答しましたね。それで紹介してもらったのが紀子です」
転職に成功する人は、親兄弟や親友などの身近な人たちだけではなく、たまにしか会わない友人や知人との結び付き(ウイークタイズ)も活用し、情報収集の幅を広げる傾向にあるという。明弘さんは無意識のうちに婚活でこの方法を実践したのだ。前提として、「オレ、婚活をしている。うまくいっていない。紹介してほしい」と頭を下げられる率直さと謙虚さが必要であることは言うまでもない。
明弘さんと同じくらいテニスに打ち込んでいたという紀子さんは、どんな婚活をしていたのだろうか。明弘さんの隣で控えめに座っていた紀子さんに話を振ると、「待ってました」とばかりにやや早口かつ明快な口調で語り始める。素直でまったりした人柄が魅力の明弘さんとは対照的で、明るく鋭敏な女性のようだ。
「36歳のとき1年ほど付き合っていた男性がいたのですが、彼には結婚する意志がないのがわかって別れました。その後、いろんな人に紹介してもらって、年にひとりふたりとは(新しい男性と)会っていました。紹介してもらったらありがたく受けて必ず会います。でも、『また次も会いたい』と思える人がいませんでした。
婚活パーティにも行ったことがあります。25~45歳までといった年齢の幅が広すぎるパーティでは、男性の人気が若い子に集中することがわかり、35歳以上限定のパーティに参加しました。そこで出会って食事にも行った男性がいます。仕事もきちんとしている方で『こういう人と結婚するのがいいんだろうな』と頭では理解しているのです。だけど、どうしても気持ちがついていきませんでした」
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