ボーイングが最新型機B787の納入を7度遅延、下請けニッポンの苦渋
日本メーカーが機体の35%を担うなど“日の丸”技術が多く取り入れられた米ボーイングの最新中型旅客機「B787」。完成前に受注が800機を超える史上空前のヒットとなっているが、いまだ羽ばたけないでいる。
1号機の納入は全日本空輸向けに2008年5月を当初予定していたが、納入遅延が頻発。10年11月にはテスト飛行中に発火事故を起こし、11年2月頃を見込んでいた納入スケジュールも再び見直されることになった。これで実に七度目の失態だ。
一連の遅延を嫌気した航空会社からのキャンセルは過去1年で40機近くに達したもよう。だが、55機を発注している全日空は、「787が戦略機であるとの位置づけは不変。安全で快適な機体に早く仕上がり、納入されることを望む」(伊東信一郎社長)と静観の構えは変わらない。
一方、損害賠償請求に限らない、値下げや他の形での補償について、「話し合いは当然、これからすることになる」(伊東社長)と言及。787のローンチカスタマー(最初の発注会社)という立場もあり、今後何らかの補償を引き出せそうだ。
積み上がる在庫
顧客である航空会社が強気に出られる一方、立場が苦しいのは、部品を納入する下請けの日本メーカーだ。
「新潟の生産子会社には787向けの製品在庫がどんどん積み上がっている」--。ギャレー(厨房)とラバトリー(化粧室)の独占供給契約を結んでいるジャムコの寺田修社長は肩を落とす。生産数量は約30機分まで積み上がったが、出荷が進まず、今後は保管場所が足りなくなるおそれも出ている。