常見 ああ、わかります。確かにフェイスブックを眺めていても、ここ数年、料亭おせちを買っている人が・・・。 かつては「家族・親戚と過ごせばよかった」年末にまで、リア充たちが「みんなでおせちを食べる」というイベントを持ち込んで、攻勢を仕掛けてきているわけですね。
20年前のケンタッキーCMソングからの変化
常見 次に、クリスマスなのですが、実はこのイベントは、恋愛リア充でない「ぼっち」にも意外にやさしいのではないかと思っているのです。
坂口 なぜですか?
常見 だってクリスマスソングで、J-POPの名曲には「寂しんぼの歌」が多いじゃないですか。例えば山下達郎の『クリスマス・イブ』も全然カップルでラブラブな曲ではないですよ。

坂口 確かに!
常見 そうでしょ。クリスマスの過ごし方とクリスマスソングの関係で言えば、僕は1995年が転機になっていると思っています。実はその年に竹内まりあが『今夜はHearty Party』という曲をリリースしました。
この曲の歌詞はたとえば、「みんなが集まれば We're gonna have a hearty party tonight グチだらけの私をなぐさめてよ 愛すべき友達」などというフレーズがあります。初めからケンタッキーのクリスマス・タイアップのためにつくられたもので、その背景には「ケンタッキーをもっと家で食べてもらおう」という意図が感じられます。
当時は「イタ飯食って、赤プリ!」というバブルの残り香のある時代であったにも関わらず、この曲は「恋人と過ごすこと」を前提としていないのが今から考えると斬新でした。歌詞にも「元彼への見返しイベント」としてのクリスマスが描かれていると思うのです。「仲間と過ごすもの」としてのクリスマスが表現されているように感じます。
坂口 本当ですね!まさに「今夜はHearty Party」には、クリスマスが「恋人イベント」から「仲間・友達イベント」のシフトが表れていて、しかも「恋人と二人」ではなく、「友達とワイワイ食べる」ことに向いているケンタッキーのクリスマス・タイアップソングというのは象徴的ですね。
常見 はい。そんな意図があるとは知らずに、普通にケンタッキー・フライドチキンを食べていましたが。ちなみに、私はケンタッキー・フライドチキンのコールスローが大好きなのですけどね(笑)
坂口 ケンタッキー・フライドチキンというキーワードは、見事に現在のコンビニに繋がりますよ。ケンタッキー・フライドチキンの売り上げが下がり続けている一方で、代わりに台頭してきたものがあるんですよ!
常見 もしかして・・・。
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