”ミスターGT-R”が選んだ意外な新天地 ゴーン社長が全幅の信頼を寄せた男

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欧州車を支える開発圏。日本の自動車メーカーも一国でつくるのではなく、開発圏を持つべきというのが水野氏の見解だ。そして、台湾メーカーがパートナーとして相性がいいと説く。

「今後の国際競争力は、ものを作るのではなく、ものを考えて打って出る思考力、そこにどれだけのパワーを持っているかが重要だ。日本は高度で先進的な技術を持っている。また、「おもてなし」という最高の接客サービスの手法もある。一方、台湾はITで世界一。これは人的な質が高くなければできない。質の高い人的資源をITだけではなく、工業製品にどう生かすか。これが台湾の次のテーマになっている。

日本と台湾が組むとすれば、欧州圏より強い人的開発圏ができるはずだ。開発圏を作るためには、共通の価値観と道徳観が必要になる。道徳観は大事なファクターだ。台湾に行くと、駅にゴミ一つ落ちておらず、地下鉄の中にもない。公共の概念、人に対する道徳観で価値観を共有できるというのは、グローバルにものを作っていく場合に大事なエッセンスだと思う」

 台湾本社と日本法人の役割分担

水野氏が兼務する日本法人のCOOと華創車電の副社長は明確な役割分担があるという。

「日本法人では基盤となるプラットフォームやプロジェクトの先行開発を行う。基盤プラットフォームを作る際、欧州メーカーや日本メーカーと手を組んで、基盤技術のレベルを上げようというのが、一つの大きな役割だ。そうして作ったプラットフォームを基に、華創車電がセダンやSUV、ワンボックスといった車種体系をつくる。デザインやクルマとしての商品供給のメインはあくまでも台湾本社だ。

台湾は、欧州や日本のメーカーと手を組むのに若干地の利のハンデがある。日本の方が自動車メーカーとのコンタクトエリアとして優位性があるので、(ハイテックジャパンが)窓口になる。開発実験では、スタビリティ(安定性)の懐の深さや質感、精度感を出すところを日本でやっていく。ここでやった仕事を台湾の本社がきちんと商品として結びつける必要があるので、本社の副社長として開発のとりまとめもやらせてもらうことになった」

鶴見 昌憲 東洋経済 記者

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つるみ まさのり / Masanori Tsurumi

紙パルプ、印刷会社等を担当

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