”ミスターGT-R”が選んだ意外な新天地 ゴーン社長が全幅の信頼を寄せた男
水野氏が副社長に就く華創車電は、裕隆グループの裕隆汽車が製造する「LUXGEN(ラクスジェン)」の開発を行うエンジニアリング会社だ。この車は世界的に見てどのくらいのレベルにあるのか。
「ラクスジェンのIT装備は、サイドビューモニターもあったり、リヤビューもワイドビューで2画面になってるし、アラウンドビューも全車標準でついてる。タッチスイッチなんて当たり前。こうした点では欧州、日本含めても世界で一番進んでいる。自動車本来の性能であるハンドリングや動力性能、乗り心地についても、技術の母体が日本から来ているので、だいたい日本車と同じくらいの実力を持っていると思う。これから 欧州車のトップレベル並にもっていく」
国内市場ではクルマ離れと言われて久しい。だが、水野氏はそうした見解を真っ向から否定する。
「日本人はクルマに興味を持たなくなっているし、セダンは復権しないと言われている。それはまったく違う。セダンの販売台数は減っていない。確かに国産車のセダンは減ってる。だが欧州車がその分増えている。クルマ離れなんてしていない。だけど、みなさんはクルマ離れが起きている、興味がなくなっている、セダンはもうダメだと言っている」
欧州車の強さを直視せよ
「どうして欧州車がこんなに強くなったのかを、もっと直視する必要がある。私が痛切に感じるのは欧州全体の力だ。今まで欧州の自動車産業というのは西欧、ドイツやフランスやイタリアの個々の自動車メーカーと思っていた。ところが1989年にベルリンの壁が崩壊してから20年経ち、東欧に質の高い人的資源やコストの安いインフラができあがった。
西欧の先進技術と東欧の質の高い人的資源とコストの安いインフラが合体し、欧州圏という自動車の開発体制ができている。この新しい開発圏が成り立ってどうなったのか。昔のフォルクスワーゲンは、ゴルフが出た1年後にジェッタが出て、1年半後にワゴンが出るというように、一定の期間が必要だった。
今は違う。半年から1年以内に全車種がそろう。しかも販売価格が下がって、開発スピードが上がっている。欧州車の強さの源泉は開発圏にある」
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