神戸製鋼が米国に工場新設、ジリ貧脱却の突破口となるか

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神戸製鋼が米国に工場新設、ジリ貧脱却の突破口となるか

神戸製鋼所が米国に自動車用鋼板の新工場を建設する。米鉄鋼大手USスチールとの折半合弁会社であるプロテックコーティングを通じて、4億ドル(約330億円)を投入。2013年の初めに、年産50万トンの設備が稼働する予定だ。

生産するのは、薄くて強度が高い冷延ハイテン(高張力鋼板)。自動車の軽量化と安全性能を両立できるのが特徴で、低燃費車への供給が拡大するとの見立てだ。プロテックは現在も、主に車体下部で使う溶解亜鉛メッキハイテンを年100万トン生産している。が、「車体上部などで冷延ハイテンを採用する傾向が強まっている」(神鋼の山口育廣副社長)という。

中でも、食い込む余地が大きいのは、米ゼネラル・モーターズ(GM)などの米大手自動車メーカーだ。自動車の骨格材などへの冷延ハイテンの採用比率は、日本車では約80%なのに対し、米国車は15%にとどまっている。神鋼はこれらのメーカーのモデルチェンジに合わせて、納入の拡大を狙う。

競合する鉄鋼メーカーが少ないのも追い風だ。現地で冷延ハイテンを生産するのは、今のところ世界最大手のアルセロールミタル1社だけ。ハイテンはもともと神鋼の得意分野であるうえに、材料となる原板は合弁の相手であるUSスチールから調達するため、コスト競争力は高い。

アジアは力不足を露呈

ただ国内のライバルを見ると、新日本製鉄やJFEスチールは、経営資源を急成長が続くアジア市場を中心に振り向けている。

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