神戸製鋼が米国に工場新設、ジリ貧脱却の突破口となるか
なぜ神鋼は米国なのか。大きな理由の一つは、鋼材の生産能力にある。同社の今年度粗鋼生産量は780万トン程度。3000万トン前後を見込む新日鉄やJFEの4分の1にすぎず、海外に輸出できる量は限られる。10年4~9月期の鋼材輸出比率は、JFEの47・2%や新日鉄の40・5%に対し、神鋼は28・2%と低い。
土木や建築の低迷で国内市場が縮小する中、国内に生産設備となる高炉を新設するのは現実的ではない。海外に建設するにしても、数千億円規模の資金が必要になる。ハイテンのような、ややニッチな市場で勝負するしかないのが実情だ。
今後、アジアでもハイテンの需要が拡大するのは間違いない。が、新日鉄やJFEもハイテンの技術を持つ。原板の調達にボトルネックを抱える神鋼は、アジアでは厳しい戦いを強いられるだろう。神鋼の足元の業績は急回復を見せているが、それも建機や非鉄が好調なため。鉄鋼の“ジリ貧”脱却には、さらなる一手が求められる。
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(山内哲夫 =週刊東洋経済2010年12月18日号)
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