東芝を大ピンチから救った、ある社員の物語 「草の根」ロビイングが会社の運命を変えた!

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元東芝アメリカ上席副社長兼ワシントン事務所長の角家哲雄氏
 1987年、東芝は米国政府から3兆円もの損害賠償を求められる「東芝機械ココム事件」という大事件に巻き込まれていました。その大ピンチを回避させたのは、当時、現地の一支店長だった角家哲雄・元東芝アメリカ副社長による「草の根」のロビイング活動でした。
 今、日本企業が世界で勝てない理由のひとつに、各国政府への「ロビイング不足」があります。そもそもロビイングとはどのようなもので、日本企業が今後、身に付けるべき技術とは何か。角家氏のお話から、それらについて考えていきます。

 なぜ彼は、米国議会を動かせたのか?

桑島:日本はバブル崩壊後、「失われた20年」と言われるほど、経済が停滞してきました。その原因のひとつには、古い産業構造を変えられずにいることもあるでしょう。一方、米国は製造業中心だった産業構造を、IT、金融中心へとダイナミックに転換することに成功しました。

なぜそれが可能なのかというと、ひとつには、米国の企業が議会や政府に働きかけ、法律や規制を自社の事業環境に有利なように変えているからではないでしょうか。この姿勢にはわれわれも見習うべきところがあると思います。

また最近でいえばトヨタ自動車のリコール問題、古くは東芝機械ココム違反事件のように、米国議会や政府から、日本企業が突如としてやり玉に上げられることがあります。そんなとき企業は米国政府とどうコミュニケーションをとればいいのか。

角家哲雄さんは、東芝機械ココム違反事件が起きた1987年に米国にいらして、まさに草の根の運動で米国の議会を動かし、3兆円もの損害賠償請求や工場閉鎖といった危機から会社を救った方です。本日は当時、どのような活動をなさったのかを伺いたいと思います。

角家:あの事件が起きたときは日米貿易摩擦の真っ最中だったこともあって、日本と東芝に対する制裁法案が乱れ飛びました。

私たちは連邦議員535人を対象に彼らの選挙区のある地元でひとりずつ説得していき、なんとか致命的内容の制裁は回避できたわけです。これはロビイストというロビー活動の専門家を使うのではなく、本当に自分たちの草の根運動によるものです。

日本企業は米国で何か問題が起きると、ワシントンの弁護士事務所に駆け込み、ロビイストやPRエージェントを紹介してもらう。でもそれでは効果的なロビー活動はできないんですよ。

桑島:しかし、普段、政治とは無縁に暮らしていると、政治家と話をするというだけで、ちょっと敷居が高い気がします。なぜ角家さんはそれができたのでしょう。

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