自民党圧勝ムード、原因は「野党の自滅」 再編で誕生したばかりの党に風は吹かず

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戦略の失敗という意味では、次世代の党は、もっとダメージが大きいかもしれない。自民党との連携を主張するものの、「片思い」に終わる可能性が高いからだ。

なんとか票を集めるため、引退するつもりだった石原慎太郎氏を説得し、とりあえず出馬してもらうことにしたものの、その効果は見られない。それもそのはずで、東京ブロック比例最下位(9位)では「党の顔」にはなりえない。しかも石原氏自身、応援に入った愛媛県大洲市でも長野市でも、自身の引退を口にしている。これでは覇気が出るはずはない。

実際に長野市では、石原氏の話を聞こうと集まった聴衆はわずか80名。2003年の東京都知事選で300万票以上も集めた人気政治家の晩節は、哀愁が漂っている。

田母神氏という「爆弾」

さらに次世代の党は、「爆弾」を抱えてしまった。写真週刊誌に妻との離婚問題を書かれた田母神俊雄氏だ。さっそく田母神氏はフェイスブックに「一方的な部分があるので現在結婚しようと思っている女性を守らなければと思い、私の見解を表明します」と反論を掲載している。

しかし、そもそも離婚裁判を抱えながら出馬していたことが明らかにされたことは、大きなマイナス点だ。「国家の危機管理」を主張する田母神氏が、実は自分の危機管理ができないということが明らかになったことは、なんとも皮肉である。

こうした劣勢をなんとか挽回すべく、平沼赳夫党首は選挙期間中に戦略を変更した。自民党とは異なる保守色を主張することにしたのだ。

6日夕方の新橋駅前。平沼氏はコートも着ずにマイクを握った。

「先日の党首討論で“ある政党”が『小笠原近海の中国船を我々が追い払った』と言ったが、とんでもない。あれは日本国民の財産である紅さんごを獲り尽くしてしまったからいなくなったのです」

“ある政党”とはもちろん自民党を指す。次世代の党が生き残るためには自民党の保守層を切り崩すしかない。それにようやく気付いたようだ。

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