ベネッセの「しまじろう」、中国の子ども市場を開拓

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 当初は、公園など親子連れの集まる場所に社員が出掛け、人を集めて商品説明をしたという。日本ではリアル店舗を持たないベネッセだが、中国ではショッピングセンター内などに20店を展開している。

そして、中国での顧客接点を広げるのに重要な役割を担っているのが、日本でも人気のキャラクター、しまじろう(巧虎)のコンサートだ。今年は6都市で40回開催し全公演満席。チケットは200人民元(約2600円)と決して安くはないが、合計4万人を動員する盛況だ。

成功すれば競合も現れる。すでに中国に3~4社、同じようなモデルの商品を作る企業も出てきた。「簡単にはまねできないと考えているが、先に市場を押さえていくこと、前を走っていくことが大事。当面は利益よりも会員拡大を重視する」(松平本部長)と攻めの方針を掲げる。店舗網を拡大するとともに、しまじろうコンサートは来年10都市101回公演で10万人の動員を予定、さらに14年には200回公演を目指す。

中国出張の際に「こどもちゃれんじ」会員の家庭訪問をしたという福島社長は「巧虎を通じて、発達段階に応じたプログラムを提供する、という商品のコンセプトが中国のお母さんたちにしっかりと伝わっていた」と自信をのぞかせる。巧虎の生みの親である倍楽生(=ベネッセ)が、日本企業か否かは、ここでは大きな問題ではないようだ。

来11年は上海以外に北京や広州などにもマーケティング拠点を開設する。10月に小学生講座が加わった「楽智小天地」は15年に会員数100万人、8年後の18年には150万人が目標だ。「中国でのリスクは当然だが、歴史のある中国福利会(故宋慶齢女史が設立)がパートナーであることは大きな強み。保護者向けの物販事業も伸ばし、ベネッセチャイナとして育てていきたい」と福島社長は意気込む。その先には、中国に続く新興国市場の開拓が見えてきそうだ。


◆ベネッセホールディングスの業績予想、会社概要はこちら

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(本多正典 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年12月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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