ベネッセの「しまじろう」、中国の子ども市場を開拓

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現地での教材開発に1年半 電話による地道な会員獲得

上海や北京など沿海都市部の富裕層が顧客の中心だが、内陸部の都市にも会員は広がっている。松平隆・海外事業本部長兼中国事業総代表は「昨年まではほぼ計画どおりの年間5万人増できたが、今年は一気に9万人増加と拡大ペースが上がった」と語る。幼児教育分野で口コミが大きな影響力を持つことは、日本も中国も同じだという。

反日デモに見られるような日本文化に対する抵抗感もある中国で、ベネッセが急拡大したのはなぜか。

「ポイントは現地化の徹底」と松平本部長は話す。中国版の「楽智小天地」は、現地パートナーである中国福利会傘下の中国福利会出版社がライセンス出版する形態を取っている。「発達段階に応じたきめ細かなプログラム」というベネッセ教材の基本コンセプトと、中国の監修者とともに進めてきた中国の子どもたちの発達段階の研究。これをベースに、現地スタッフ50名がつねに試行錯誤を繰り返しながら企画編集を行っている点が大きな特徴だ。

事業開始にあたっては、現地での教材開発に約1年半の時間をかけたという。幼児用講座は、学習もさることながら、文化や生活習慣の習得などが重要な位置を占める。日本の文化や生活習慣をベースにした教材を持ち込んでも、現地の幼児教育の役には立たない。台湾進出時に日本の翻訳版を持ち込んで失敗した経験が反映されている。

マーケティングも根本から見直した。日本では「赤ペン先生」の知名度を生かしたダイレクトメールによる会員獲得の手法を確立している同社だが、06年に中国進出を計画した時点では、中国における知名度はゼロ。中国では「こどもちゃれんじ」に類似する幼児向け教材はないうえに、通信講座や料金前払い、口座振り込みといった商習慣もない。中国にない新たな商品、新たな価値をどう伝えるかからのスタートだった。

柱に据えたのは電話セールスによる「1対1」のマーケティング。Webでの資料請求キャンペーンやイベントで関心を示した顧客のリストを作成。体験版の映像教材で子どもの表情や反応など商品効果を体験してもらったところに、450名のコールセンタースタッフが電話をかけていく地道な方法だ。

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