楽天の「完全オフ撤廃」に法的問題はない? そもそもプロ野球選手は労働者なのか

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「そこは難しいところです。休日などの基準を定めているのは『労働基準法』ですが、2つの法律は『労働者』の定義が異なるのです。

労働組合法では『職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう』と定義されています。

一方で、労働基準法は『職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者』と定めています」

労働基準法のほうには、事業または事務所に「使用される」という条件がついているわけだ。

労働基準法では「労働者」にあたらない?

すると、プロ野球選手は、労働基準法上の労働者ではないのだろうか?

「プロ野球選手が『労働基準法上の労働者』に該当するかについては、議論があるところです。

しかし、(1)バット等の用具を自らが用意することとなっていること、(2)毎年契約更改交渉を行っていること、(3)報酬が高額であることなどから、『労働者に該当しない』という考え方が一般的です」

プロ野球選手が「労働者」でないなら、「休日なし」でも問題ない?

「労働基準法では、使用者が労働者に対して、少なくとも『毎週1日の休日』か、『4週間を通じて4日以上の休日』を与えなければならないと定めています。

しかし、そもそもプロ野球選手が『労働基準法上の労働者』でないのであれば、労働基準法上の休日に関する規程の適用はありません。

また、プロ野球選手と球団が締結する統一契約書には、休日に関する条項がありません。したがって、個別に休日に関する契約を結んでいない限り、休日が与えられなくても法的には問題ないといえます」

横溝弁護士はこのように指摘していた。労働組合法では「労働者」なのに、労働基準法では「労働者」にあたらない……。なんともややこしい話だが、野球ファンとしては、選手が元気に活躍してくれることを祈るばかりだ。

横溝 昇(よこみぞ・のぼる)弁護士
弁護士法人リバーシティ法律事務所 代表社員。千葉県弁護士会、千葉大学大学院専門法務研究科非常勤講師。著書「図解入門ビジネス最新著作権の基本と仕組みがよ~くわかる本」など。
事務所名:弁護士法人リバーシティ法律事務所

 

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