「グリーは、ずっとダメな会社と言われてきた」 創業10年、過去・現在・未来を語る(2)

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山田:どちらかというとヘビーユーザーを対象にしていますか。

田中:ヘビーユーザーということではないんですけども、僕らの得意分野にフォーカスしようということでRPGっぽいやつと、シミュレーションっぽいやつをやっています。

山田:本当に稼げるものは、わりと単純なものだったりしますよね。複雑なものって開発コストもかさむので外れるとキツイですよね?

田中:今はユーザーが求めているものが、どんどん複雑になってきています。ゲーム業界って、昔からシンプルなものが間口を広げて、ヘビー化していく。そして、その人たちが時代を牽引して、そのあとには、またカジュアルなものがはやる、というサイクルがあるんです。

山田:複雑というか、つくり込んだ作品でヒットを出していきたい、と。

田中:そうです。パズルとかは、あんまり得意分野ではないですよね。

山田:でもシンプルなゲームも得意なのかなという印象がありますよ。釣りゲーのイメージがありますから。

田中:確かに釣りとかはそうですね。めちゃめちゃシンプルです。当然、モバイルゲームなので、ユーザーから見たときには間口も広くないといけないと思います。

山田:ヒットを生むために、田中さん自身は何をしていますか。いろいろと日々、触っていますか。

田中:自分でもゲームをすることはありますけど、どちらかというとゲームをつくっている社員の話を聞くことを重視しています。なんでそのゲームをつくっているのかを聞いて、なるほどと思えるのか、あるいはちょっと違うと思うのか。何かしらの論理があるのか、未来を見ている感じがあるか、ということを判断しています。

僕が、これからはモバイルなんだ、これからソーシャル型が来るんだ、という風に思ったときのような、次の時代を語るような人がつくっているゲームはいいなと思っています。

山田:具体的には、どういう話をするのでしょうか。

田中:社内でいろいろな会議をしていて、「なんで横スクロールなの?」とか、いろいろと聞くんですよ。ゲームのストーリーを聞いたときに、「ここはなんでこのストーリー展開なの?」とか。そういう話を聞きながら考えるようにしています。

ヒット作を生む自信がある

山田:社内に今、ゲーム開発に重視している社員は1000人いると思うのですが、ヒットが生まれるという予感はありますか。

田中:それはもう自信をもっています。何しろ、これだけの規模で、日本でもアメリカでも、ゲームをつくれる人材がいて、大量にゲームをつくっている会社というのは本当に少ないと思います。そういった意味では、いいゲームをつくる会社になってきているな、と。ただまあ、さっき言ったブラウザゲームからのシフトとか、いろいろあるので、まだ大きなヒットは出ていませんけど。あとは地道にやっていけばいいかなと思っています。そこについては、あんまり不安はないです。

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