「文化系サラリーマン」の生きる道とは? 即戦力になれずとも特性を生かせる日は来る

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それでは僕の読書経験はサラリーマンとしては無駄だったのかというと、そんなことはない、というのが今の実感だ。結局、読書で得た知識と「疑う」姿勢が僕の武器になっているのは間違いないからだ。号令がかかった瞬間、迷わず全力でオールをこぐ人のほうが即戦力にはなるだろう。しかし、「本当にこの方向でいいのか?」「オールでこぐよりいい方法があるんじゃないか?」と考える人が必要な局面が必ずある。

今こそが、少数派や異端児たちの出番だ!

本に書かれていることと、社会人として出合う現実。その二つを咀嚼し、架橋するには相応の時間がかかるが、どちらも手放さないことが大事なのだ。僕も時間をかけて自分の特性をチューニングし、会社の中でそれを少しずつ生かせるようになっていった。

考えてみると、会社も僕がそういうやつであることをある程度わかったうえで採用したのだろう。マックス・ヴェーバーやミシェル・フーコーを引用した、ひどく頭でっかちなエントリーシートを書いた僕を書類選考で落とさなかったのだから。最近わが社では、ITやメーカーなど、異業種から来た人の活躍も目立つ。メディアにとっては厳しい状況が続いているが、それまでの「当たり前」が揺らいでいるときこそ、文化系サラリーマンをはじめ、さまざまな少数派や異端児たちの出番なのだ。

というわけで、この連載ではサラリーマンとしての僕の経験を基に、多少なりとも読者の役に立つものを書こうと試みてきた。それがどれほど成功したか心もとないかぎりだが、読んでくださった方には心から感謝したい。そしてさまざまな職場にいるであろう文化系サラリーマン諸君にささやかなエールを。

 

構成:宮崎智之

「週刊東洋経済」2014/11/29号

 

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この記事の筆者・長谷川裕氏がプロデューサーを務める番組はこちらです→ 「文化系トークラジオLife」「荻上チキ・Session-22」「菊地成孔の粋な夜電波」

長谷川 裕 TBSラジオ プロデューサー

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はせがわ ひろし / Hiroshi Hasegawa

1974年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、1997年にTBS入社。2001年からTBSラジオの番組制作を担当し、「荻上チキ・Session-22」、「菊地成孔の粋な夜電波」、「森本毅郎・スタンバイ!」、「アクセス」などの番組を手がける。2006年に立ち上げた「文化系トークラジオLife」は、優れた放送番組に贈られるギャラクシー賞大賞を受賞(2008年)、同番組では「黒幕」としても活躍している。共著書に『文化系トークラジオ Lifeのやり方』、『文化系トークラジオLife』などがある。@Life954

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