包帯で補強?これが最新のマンション耐震だ 見積もり4億円の工事費が7000万円に

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「巻き付けるだけで本当に大丈夫なのか」という声が聞こえてきそうだが、その効果は東日本大震災で実証されている。

たとえば、築約40年を迎えた仙台市のあるマンションは、ちょうど東日本大震災の直前にSRF工法による補強工事を終えていた。そこへ震災が直撃。周囲の多くのマンションが廊下の壁に大きな亀裂を生じ崩落している中で、被害を最小限に抑えることができた。

震度6以上だった地域60件の施工実績を含め、関東・東北地方のマンション、百貨店、学校など400件以上の建物で震災前にSRF工法が採用されており、震災後も問題なく使用できている。

眠れぬ夜を超えてひらめいた

SRF工法は、五十嵐社長の挫折から生まれた

五十嵐社長の耐震研究は、大手建設会社で耐震調査係として働いていた1993年に始まった。

大きな転機は1995年の阪神・淡路大震災。地震発生翌日に神戸に行って衝撃を受ける。ビルが倒壊し、鉄筋コンクリートの柱から折れ曲がった鉄骨がむき出しになっていた。「大きな地震にも耐えられる強靱さを持つと信じて疑わなかった、鉄筋コンクリートの安全神話が崩れた」(五十嵐社長)。

現地で1000枚以上の写真を撮り、東京に戻って鉄筋コンクリートの崩壊理由を調査した。その3カ月後、会社側は調査の打ち切りを決めるが、五十嵐社長は会社を退職し、耐震研究を続けた。

もう一つの大きな転機となったのが、1999年に起きたトルコ北西部の巨大地震だ。現地では国家機関の職員として学生とともに被災した建物を調査し、余震による倒壊危険性、使用可能な建物の判定を行った。倒壊危険性の判定では「余震は本震を上回らない」という定説を元に、本震の8割程度の地震を基準として判定していた。

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