51位から100位までを見ていこう。54位のフェデックス、55位モルガン・スタンレー、56位のエクソン・モービル、62位のジョンソン・エンド・ジョンソンなど、日本でもなじみのある企業が目に付く。オートバイの大手のハーレーダビッドソンも、87位で、トップは6億円以上の報酬を手にしている。
さて、日本企業はというと、このあたりから説明を始めるのが現実的だ。退職慰労金の支払いを除いた場合、日本の上場企業で断トツなのは、前出の日産自動車会長兼社長のカルロス・ゴーン氏だ。しかし、同氏でさえ年間報酬額は9億9500万円程度。今回のランキングでいうと、30位台半ばの位置だ。日本が誇る世界一の自動車メーカーのトヨタ自動車でも、豊田章男社長にいたっては2億3000万円で、今回のトップ300企業ランキングで見ると、ランキング対象外ということになる。
同社は前2014年3月期に1兆8000億円を超える純利益をたたき出している。その成功報酬が2億程度では、米国経営者にしてみればお話になりません、ということになるのだろうか。
日本企業トップも、高額報酬を手にする日が来る?
ただ、将来的には日本でも高額報酬を得るトップが輩出される可能性がないわけではない。米国企業のトップが受け取る年間報酬の多くが、ストックオプションの権利行使によるものだからだ。
例えば、ランキング1位のハウリー氏が会社から年間報酬として受け取った額は200万ドル程度に過ぎない。円換算では2億円強で、トヨタの社長とほぼ同額だ。残りの約54億円相当額は、すべてストックオプションを行使したことで得た現金収入による。
米国大手企業の役員報酬額は、単年度業績に連動する短期インセンティブ部分と、複数年かけて達成するような長期業績に連動する長期インセンティブ部分に明確に分かれている。
うち、長期インセンティブに相当する報酬は、ストックオプションの付与という形で支払われるのが一般的。受け取る側は、ストックオプションも現金報酬と同様、努力に対する対価であるという考え方であり、その権利行使にちゅう躇はない。
唯一、経営者が気にするのは希薄後の1株当たり利益(EPS)であり、権利行使してもEPSを維持できるなら当然の権利として行使するということだろう。
ところが日本の場合は、たとえストックオプションを保有していたとしても、会社のトップが任期中に権利行使するというようなことはない。だが、このような日本の経済文化が米国式に変わっていけば、任期中に高額報酬を手にする企業トップも少なからず出てくるはずである。
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