「億を稼ぐプロゴルファー」への広くて狭き門 子どもに託す親たちの夢はかなう?

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自分の息子や娘が、プロゴルファーになって大活躍すれば億円単位という、一般的なサラリーマンが生涯に得る収入の数倍、数十倍を一気に稼ぐかもしれない――。連載第1回で取り上げた「ゴルフで一攫千金!親の夢を背負う子ども達」の実像をさらに掘り下げる。
自分の子どもをプロゴルファーにさせるには?(写真:そーいらんぬー / Imasia)

「どうやったらプロになれますか?」

ジュニアゴルファーの取材をしていると、保護者の方々からこういう質問をよく受ける。これがなんとも答えにくい。

実はプロゴルファーになるのは簡単だ。「私はプロゴルファーです」と名乗ればいい。プロテストを受けて日本プロゴルフ協会(PGA)や日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の会員になることは将来を考えると必要条件にはなるが、プロになる絶対条件ではない。ただ、問題はゴルファーとして強いかどうかにある。

ツアーに出られるのは90~140人

現在、プロゴルファーでツアーに常時出られるのは、シード選手と言われる男子70人、女子50人。シニア(50歳以上)までは間があるので省くが、その他の資格(たとえば永久シード権)や予選会を通過したものなどを含めて、ツアーの試合にはだいたい90人から140人ぐらいが出場する。

ツアーの試合に出るのは、日本ゴルフツアー機構(JGTO)や日本女子プロゴルフ協会(LPGA)の予選会に出て、上位に入り試合の出場権を獲得するなどのステップが必要になる。

実は2000年代半ばからこうしたステップを経ずにスターになった選手たちが出てきた。宮里藍であり、石川遼であり、松山英樹だ。いずれもアマチュアとして出場したプロのツアーに優勝するという離れ業を演じた。

優勝すればアマチュアでも以後の試合の出場資格を得られる。その資格があるうちにプロになった。これは名刺に「プロゴルファー」と書いてあっても信用される。今年は15歳のアマチュア、勝みなみが女子ツアーに優勝した。彼女はまだプロにはなっていないが、こうした「夢のような」ことが現実に起きているのが今のツアーでもあり、それがゴルフをしている子供たち、ゴルフをさせている親たちのモチベーションにもなっているように思える。

ひるがえって「どうやったらプロになれますか」と聞かれて「ツアーで優勝すればいいんですよ」とは言えない。いずれも特別なゴルファーのこと。また、アマでツアーに出るにはかなりの実績が必要になるが、「あの子が勝てるなら、うちの子も」と考えるのは道理でもある。事実、彼ら、彼女らと試合で戦ってスコアで上回ったことがある選手はたくさんいるからだ。

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