「億を稼ぐプロゴルファー」への広くて狭き門 子どもに託す親たちの夢はかなう?

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ジュニアゴルファーはどのぐらいいるのだろうか。明確な統計があるワケではないが、ゴルフ経験がある高校生までの男女ゴルファーは推定10万人ほどと言われる。20年前に比べると半分以下。ジュニアは一応高校生以下の年代のことをいうが、もう少し細かく分けるとすると中学、高校が「ジュニアゴルファー」、小学生以下は「キッズゴルファー」とも呼ばれている。6~18歳まで登録できる日本ゴルフ協会(JGA)のジュニア会員は競技ゴルフをしているキッズ、ジュニアが主で1万2000人ほどだ。

ツアーゴルファーの年齢層は10代から40代と幅広い。その中にこれから入っていこうとするジュニアにとっては、以前より競争率は下がっているとはいえ、かなりの狭き門といえるだろう。しかも大成功を収めるのは、ほんのひと握りだ。

「レッスン」「師匠」が必要か

プロになるためには、「レッスン」「師匠」というのが大切になってくるかもしれない。宮里の父は、43歳でティーチングプロの資格を取っている。石川の父は80台で回る実力があり、石川のスイングを作ってきた。松山の父は、日本アマ出場などトップアマだった。子供の頃にこうした父の教えを受けて、今がある。

親たちがみんなゴルフ技術に長けているとは思えないので、やはりどこかの年齢の時点でプロなり、指導者に教えてもらわないといけないだろう。

「ジュニアゴルフクール」「ゴルフアカデミー」など、ジュニアゴルフの育成を行う場が日本にはたくさんある。どこを選ぶか、その子供にどういう教え方があっているかは、実際にやってみないとわからない。だいたい、月謝は1万円ぐらいから数万円のところが多いが、個人レッスンなどになってくると費用はかさむ。

有名な熊本の坂田塾の塾長・坂田信弘プロにかつて話を聞いたことがある、坂田塾は坂田プロ自前で費用を賄い、面接で選ばれた塾生は練習費やレッスン費など無料なのだが「厳しい練習についてこられるか、遠征費などは出せるか」など、意欲の面だけではなく費用面でも気を遣ったという。ゴルフを学ぶには多額の費用がかかるし、レベルアップしていくと、さらにしっかりした教えを受けないといけなくなる(費用がさらにかかる)こともあるだろう。

海外留学もあるがこれには大金が必要になる。競技は違うがテニスの錦織圭が学んだ米国のIMGアカデミーはゴルフも学べるが年間1000万円ぐらいの費用が必要らしい。そうしたスクールは、かかる費用はまちまちだが世界各国にある。現在、日米の男女ツアーを席巻している韓国の選手は、親も一緒に米国に移住したというケースが多いのも、そうした教育を受けるため。ゴルフ留学ともなれば、とても親の小遣いを制限したところで追いつきそうもない。

親の本気度もそうだが、なにより子供の本気度が大切になる。個人的には、あまり小さいうちからゴルフばかりにのめり込まず(のめり込ませず)、体の発達や、ゴルフへの意欲を養った方がいいような気がする。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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