(第41回)日本の大学教育は社会の要請に無反応

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 しかし、日本の状況はまったく違う。ビジネススクールがないから高度な専門家が存在せず、そのため専門家を必要とするビジネスに企業が進出しない。だから、ビジネススクールに対する需要がない。こうして深刻な悪循環に陥っている。

東大の中で農学部は一大勢力

前回の表をいま一度見ると、東京大学において農学部の比重が高いことが注目される。東大農学部は、独立したキャンパスを持つ極めて強力な学部なのである。

これは、大阪大学を除く旧帝国大学において共通の事情だ。これらの大学で、農学部や農学研究科の学生は全学の1割程度の割合を占める。

2007年の国内総生産に占める農業の比率がわずか1・58%であることと比較すると、旧帝国大学における農学部の比重の大きさは、異常とも言えるものだ。なお、面白いことに、私立大学には農学部は少ない。

アメリカでは、「ランドグラント・カレッジ」(国有地付与大学)制度がリンカーン大統領によって1862年に作られた。その目的は、アイビーリーグなどの伝統的大学で行っていなかった実学教育を大学で行うことだった。カリフォルニア大学やMITは、この制度で作られた大学である。

かつてこれらの大学で、農学は重要な比重を占めていた。しかし、今ではほとんど残っていない(まったく消滅したわけではないが、少なくとも重要な学部ではない)。

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