東証と証券会社は「利益相反」の関係へ? 証券会社の猛反対で、取引時間拡大見送り
だが、同コードの導入は世界的な潮流であり、海外投資家のより多くのマネーを東京市場に呼び込むためには欠かせない、という認識が同会合の大勢を占めていた。
結果として、上場企業は複数の独立社外取締役を選任することや、政策保有株式(持ち合い株式)について、その保有の狙い・合理性を具体的に説明することなどがコードとして規定される見通しになった。
同コードでは上場企業に対して、中長期的な経営計画、収益見通しを株主に示すことも規定される。この点、日本取引所グループが現行経営計画に盛り込んでいるテーマの一つが「取引時間拡大」にほかならない。
中計断念に関して説明責任
ところが、コーポレートガバナンス・コードの輪郭がほぼできあがった25日、日本取引所グループが、その中期経営計画のひとつのテーマの断念を発表せざるをえなかったのは皮肉な偶然である。
取引所にとって会員証券会社は直接的な取引相手である。だが、日本取引所グループを上場企業として見ると、会員証券会社は同グループの株式を保有する株主でもある。つまり、経営陣が提示した取引時間拡大という経営戦略は、一部の株主から否定されてしまった構図にもなる。
株式会社である以上、国際化などの戦略を実行することで収益力を高め、株主の負託に応える責務がある。その戦略を株主に否定されたことについて、日本取引所グループは今後、コーポレートガバナンス・コードに基づいて合理的に説明することを迫られかねない。
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