就活の早期化に“待った” 波紋が広がる商社提言
商社の業界団体である日本貿易会は11月17日、企業による新卒採用活動を現状より4カ月ほど遅らせる見直し案をまとめた。2013年春入社の新卒対象者からで、学生の就職活動期間を短縮化し、学業に専念できる時間を確保するのが狙いだ。日本経団連などに働きかけ、産業界全体に賛同を呼びかける。
現在、企業による会社説明会は3年生の10月に始まり、大手企業では4年生の4月に筆記試験、面接などの採用選考がピークを迎える。貿易会の案は、説明会開始を2~3月に、面接などの採用選考活動も8月に遅らせるというもの。大学入学から3年間は学業に専念させ、春・夏休みを最大限に活用することで学業への影響を軽減する狙いだ。
産業界にはバラツキも
貿易会の槍田松瑩会長(三井物産会長)は、「現状は学生の学習環境を大きく阻害している。高度な人材が育たず、日本の競争力低下につながっている。諸外国と比べても日本の状況は異常だ」と語る。
大手企業による説明会や採用面接などのスケジュール自体は数年前も今も基本的には同じ。変わったのは学生の動きだ。数年前は1~2月になって合同企業説明会に参加する学生が多かったが、今は秋の説明会開始とともに学生が殺到する。来春卒業予定の大学生の就職内定率が過去最低の57・6%と就職氷河期を迎える中、「少しでも早く動かないと就職できない、という不安感が学生の就活を早めている」(就職情報会社)。