クリミア併合に何の意味があったか知ってますか 常に支配国が変わってきた歴史を経て今がある
これはひとえに、クリミアが高緯度地域に珍しい「不凍港」だったから。やがて半島はロシア皇帝の手に落ちます。ロシアにとって、クリミアは海水浴をしても顔が凍りつかない珍しい場所で、当初はリラックスできる別荘地として重宝されました。そして次第に軍用港としての重要性が高まっていきます。
第2次世界大戦の独ソ戦で、クリミアは一度ナチスに占領されます。残忍な傀儡政権が樹立され、多くの人が犠牲となりますが、枢軸国が敗戦するとクリミアはスターリンの手に戻ることに。
しかし、先住民クリミア・タタール人たちは、「ソ連復帰」でさらなる憂き目を見ることになります。スターリンはこの地にロシア系移民を大量に送り込み、クリミア・タタール人たちを強制収容所へ送還したのです。半島内でのロシア勢力を強化し、自分の意のままに操れるよう地盤固めを行ったのです。
一方、スターリンの死後、指導者となったフルシチョフは何を思ったか、クリミアをウクライナへと割譲します。とはいえ、当時のウクライナは巨大な「ソビエト連邦」の構成国の1つ。いわば「ソ連からソ連への贈り物」で、当時この割譲が騒がれることはあまりありませんでした。
あまりに怪しい「国民投票」で独立したクリミア
しかし1991年、そのソ連が崩壊すると、ウクライナは正式に独立国として世界から認められ、西側諸国との距離を詰めはじめます。クリミア半島を連れての西側への政治的放浪に、ロシアが黙っているはずありません。
ロシアにとって何より大きな問題は、クリミア半島の都市セヴァストポリがロシアの利用できる貴重な不凍港であるという点です。柔道の有段者で、数々のプロパガンダを打ち出しては自分が「世界最強のリーダー」であることを印象づけてきた武闘派プーチンが、大事な港が自分の監視下から逃れるのを黙って見ているわけがありません。
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