就活に焦った学生が陥りがちな就活塾の落とし穴 勧誘されて契約も、解約できずにトラブルに

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無理やりに入塾させられたとしても、その講座が役に立てば入塾して良かったということになるだろう。しかし、講座内容や授業の進め方に不満を抱く学生は多い。そして、解約しようとしたときにトラブルが起きる。

北関東の大学に通う男子学生Aさんは講義を受けたところ、知っていることばかりで、有料の価値がないと思った。解約有効期間中だったので解約しようとしたところ、「今やめたら就職できない」などと言われ、解約に応じてもらえなかった。

都内中堅大学の女子学生Bさんは大学の先輩に紹介され、30万円払って都内の就活塾に入塾した。入塾してすぐにWEBセミナーへ参加しようとテキストを見たら文字化けしていた。改善するように求めたが対応してくれなかった。入塾前にはグループ学習を重視していると聞かされていたが、塾が何もサポートせず、グループを作ることすらできなかったという。何の効果も無く、解約したいが応じてくれないため国民生活センターに駆け込んだ。

いつの間にかマルチビジネスの片棒を担ぐことに

いつの間にかマルチビジネスに組みこまれてしまうこともある。

神奈川県内の大学に通う男子学生Cさんは友人に誘われて就活イベントに参加した。その後、講師とzoomで面談し「就活に役立つビジネススクール」への入会を誘われた。ビジネススクールならばいろいろな勉強もできると思って入会すると、知人を塾に勧誘するように迫られた。知人が支払った入会金の一部を手数料として渡すのでどんどん知人を集めろ、というのだ。

そして、自分を誘った友人も人数集めのノルマ達成のために自分をイベントに誘ってきたということがわかった。就活のための対策をするはずだったのに、いつの間にかマルチビジネスに組み込まれてしまったのだ。このまま自分も勧誘を続ければ手数料収入は得られるものの、人間関係が悪化してしまう。Cさんは退会したいが言い出せず悩んでいる。

また、入塾後に物品やサービスを売りつけられるケースもある。以前から高額な英語教材や化粧品を学生に販売するケースはあったが、最近目立つのはプログラミングスクールへの勧誘だ。プログラミング自体の重要性は疑いないので学生としては断りにくい。

さらに、就活の相談に来た学生に「就職しなくても収入を得る方法がある」として金融商品や投資方法を勉強する教材を売りつけることもある。就職がなかなか決まらず、就職をあきらめかけている学生は、こうした話に乗ってしまいがちだ。精神的に不安定なため「自分は就職しないで投資で生きていこう」と思ってしまう。

しかし、必ず儲かる投資法などあるはずがない。役に立たない投資教材を高額で購入し、借金だけが残ることになる。

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