データが示す「日本の不妊治療」知られざる実態 不妊治療の「平均回数」や「年齢別の妊娠率」とは

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4月から、保険適用の範囲内であれば全国どこのクリニックで治療を受けても、かかる費用は同額になります。日本産科婦人科学会が発表している「体外受精・胚移植等の登録施設数」は624ですが、施設によって治療数は大きく異なります。年間で100周期以下の施設が2割程度を占める一方、年間1000周期以上実施している施設も2割ほどあります。

治療件数がそのまま医療の質にはつながらないものの、あまりに症例が少ないクリニックでは不安を感じることもあるでしょう。クリニックを選ぶ際は、そのクリニックの実績や評判を慎重に見極める必要があるのではないでしょうか。

平均的な治療回数は?

最後に、不妊治療当事者の「治療回数」について見てみましょう。

野村総合研究所が2020年11月に実施した不妊治療当事者に対するアンケート調査によると、「タイミング指導(*)」「人工授精」「体外受精」「顕微授精」の治療法別に見た平均回数は以下の通りです。

*「タイミング指導」:超音波で卵胞を測定し、医師から性交渉のタイミングの指導を受ける治療法のこと

今回は、さまざまなデータを基に不妊治療の今を紹介しました。保険適用となることで、自分自身は当事者にならずとも、身内や友人、同僚などに不妊治療を始める人が増えるかもしれません。そうした場合に、正しい知識でその人が置かれている環境を理解することは、大きな支えとなるのではないでしょうか。

(1日目第4回は32歳女性「妊娠できるか検査」で見えた残酷な現実

1日目第1回:不妊治療「最大手クリニック」あえて自由診療の訳
1日目第2回:不妊治療のお金「保険適用」でどう変化?実例検証

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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