発達障害児「学級に2人」、衝撃結果が広げた大波紋 文科省や都の調査に教師が反発した理由とは?

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東京都では、アンケートに協力しない教師も複数いた。アンケートへの回答を拒否した別の教師は、「アンケートに回答しないでいたら、校長が勝手にまとめて教育委員会に報告していた」と明かす。こうした状況は、多摩地区の地域新聞「アサヒタウンズ」でも報じられていた。

「東京教組が開いた集会では、担任に調査票が配布されず、校長が独断で教委に報告したと思われる例が各地から報告された」(「アサヒタウンズ」記事より)

「関係のいい」自治体だけで実施

先んじて調査を行った文科省は、こうした教師の反発が出ることをあらかじめ把握していた。東京都の前年に実施された文科省調査は「全国調査」という名称だが、その調査対象は「5地域」、対象学校は370校にとどまる。

この調査に携わった文科省の関係者らは東洋経済の取材に対し、「一部の教職員は調査に反対していたため、教育委員会と教職員の関係のいい自治体で実施した」「反発する自治体は除いて調査用紙を配った」と話す。

文科省に調査用紙や関連する資料を開示するように求めたが、当時の調査用紙や資料は残っていないという回答だった。

一方、東京都の全校調査では協力しない教師が一部いたものの、その調査結果には「回収率100%」と記されている。都の調査結果では、発達障害の可能性のある児童生徒は「4.4%」。対する2002年の文科省調査結果は「6.3%」で、大きく乖離していた。

その後、他の都道府県で行われた調査でも数値にばらつきがあった。教師が児童の言動をチェックしたものであったため、その教師が児童をどう評価するかによって、差が生まれるのはむしろ当然だ。

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