ロシアの侵攻で露呈「安倍政権」重すぎる負の遺産 北方領土問題はマイナスからの仕切り直しに
プーチン大統領にとってみれば、レガシーづくりを狙う安倍氏の足元を見ながら経済支援を引き出し、日本との友好関係を強調することでアメリカなどG7の足並みの乱れを誘おうとしていたことは明らかだ。日本政府も国会も、安倍政権以降の一連の対露外交の経緯について、交渉の内容や経済協力の中身などを詳細に検証し、国民に公開しなければならない。
ロシアによるウクライナ侵攻に対する日本を含む国際社会の制裁は、ロシアによる北方領土交渉の打ち切り通告という報復につながった。この戦争では、仮にロシアがウクライナの主要都市を制圧したとしても、ウクライナ側の抵抗はやまないし、国際社会からの制裁は継続する。最終的にロシアが「戦争の勝者」となる可能性はないだろう。遠からず、プーチン大統領がどのような形で権力を失うのかが焦点となってくる。
信頼してはいけない人を信頼してしまった
ウクライナ戦争が終結し、ロシアの政治情勢が新局面に移ることがなければ、日露の外交交渉が本格的に再開することはないだろう。ただ、その場合でも、北方領土交渉はかつての「4島一括返還」ではなく、安倍政権下で示された「2島先行返還」を基礎に始まる可能性が大きい。「ゼロからの出発」ではなく「マイナスからの出発」を余儀なくされそうだ。安倍政権の「負の遺産」は日本外交に重くのしかかる。
安倍氏の一連の対露外交について、外務省の事務次官経験者がこう語っている。
「世界の政治家は2種類に分けられる。プーチン氏を信頼する政治家と信頼しない政治家だ。安倍氏やトランプ前米大統領は前者、バイデン米大統領やメルケル前ドイツ首相は後者だ。ウクライナ戦争を見ればわかるが、安倍氏は信頼してはいけない人を信頼してしまった」
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