中国の領土的野心がアジアの平和を壊す--ブラーマ・チェラニー インド政策研究センター教授

アジアの長期的な平和を確保するには、既存の国境を尊重しなければならない--。その事実を浮き彫りにしたのが、最近の領土や領海をめぐる紛争だ。領土問題の現状を変えようとする試みは、冷戦時代から続く対立を呼び起こしかねない。そうした心配から、アジア諸国は、アメリカとロシアが東アジア首脳会議に出席することを歓迎してきたのである。

最近の尖閣諸島問題や中国とベトナムの領土紛争により、中国の領土政策にスポットライトが当たっている。アジア諸国は、中国が、日本からインドに至る隣国に対し領土要求を強めてくるのではないかと懸念している。中国はブータンに対してさえ領土要求を強めているのだ。

中国の強硬姿勢は、既存の国境を尊重することで妥協してきたアジアの外交に大きな課題を突き付けている。アジア諸国は経済的な相互依存性を強める一方、政治的には今まで以上に分裂しつつある。

朝鮮戦争が勃発し、中国のチベット統合が行われた1950年以降、国家間の争いは多く起こっている。欧州では、20世紀前半のような戦争は現在では考えられなくなっているのに、アジアでは、紛争が終結するどころか、対立関係がより激しいものになっている。

中国はアジアの軍事紛争に最も多く関与してきた国だ。最近の米国防総省の報告によると、「現代中国の戦争の歴史は、中国のリーダーが軍事行為を戦略的な防衛行為として正当化してきた事例を多く示している。たとえば中国は朝鮮戦争への参戦を“米国に抵抗する朝鮮への支援”であると主張している」。

また中国政府の公的な文書は、62年のインドとの国境紛争と79年のベトナムとの国境紛争を“攻撃に対する自己防衛”だったと指摘している。74年の中国人民解放軍によるベトナムの西沙群島の領有化も、中国政府によれば“防衛のための攻撃”の一例なのである。


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