日本「ウクライナ難民受け入れ」偽善に聞こえる訳 アフガン難民が置かれた状況を見ればわかる

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ここ数週間で日本に避難しているアフガニスタン人をめぐる状況はわずかに好転した。政府関係のアフガニスタン人避難者の子どもたちが4月から学校に行けるようにする、と政府が発表したのだ。

2月17日以降、90日間の短期ビザで入国したアフガニスタン人は、就労を可能にする「特定活動」ビザへ移行できるようになった。ただ、政府のガイドラインは曖昧なうえ、そのための支援を行う責任は政府でなく身元保証人に課せられている。

観光写真をインスタに投稿したら批判

アフガニスタン難民の受け入れは、慎重に扱うべき問題として複数の機関により所掌されている(法務省、厚生労働省、内閣府、JICAなど)が、日本国民の感情とのバランスをとるのは容易ではないようだ。

例えば、アフガニスタン人たちは到着直後、インスタグラムに日本国内旅行の写真を投稿しており、この行動は彼らが納税者の金で遊んでいると思った一部の日本人の不評を買った。外交官はアフガニスタン避難者の窮状に同情的だとされるが、あからさまに寛大に振る舞うと日本人を怒らせると恐れている。

アフガニスタン関連NGOのコンソーシアム、AFAは8日、日本にいるアフガニスタン人がいかに精神的負担を負っているかという調査を発表した。AFAは、アフガニスタン人に対して日本語教育や仕事の取得だけでなく、本国などに残された家族との再会を支援すべきだとしている。

「私たちはみな杉原千畝を思い出すべきだ」と、アフガニスタン難民の私的なスポンサーの1人は言う。1940年、日本大使館の副領事としてリトアニアの首都カウナスに駐在していた杉原は、日本の厳しい基準を満たしていないにも関わらず、ナチスの迫害から逃れるユダヤ人申請者に何千ものビザを発行した。この不服従と寛大の行いにより、同氏は海外で最も有名な英雄となった。日本政府の難民政策は、千畝氏から多くを学ぶべきである。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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