ゴルフで一攫千金!親の夢を背負う子ども達 プロを目指すジュニアへの投資対効果

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最近は、練習場もゴルフ場も、ゴルフ人口の底辺拡大の意味もあって、ジュニア料金を設定しているところも多いが、それでも元が高いだけにかなりの出費を覚悟しないといけない。サッカーや野球のように広場でボールを蹴ったり、キャッチボールをしたりという、手軽さはゴルフにはない。ときどき、河川敷でボールを打っているおじさんゴルファーを見かけるが論外だ。ゴルフボールは「危険」なのだ。

では、具体的にいくらかかるのか。ゴルフ練習場の打ちっ放しに1日1000円を費やし、300日通ったらそれだけで30万円。毎週末にラウンドしたらざっと30万円ぐらいはかかりそうだ。用具代や交通費を加えると、100万円ぐらいにはなるだろう。少しうまくなると、腕試しに試合に出ようとなる。遠征費は親も同伴するはずなので、大会の場所にもよるが5万~10万円はかかるとみておいたほうがいい。最小限の100万円に、どんどん出費が重なっていく計算だ。

10試合に出ればさらに100万円

年間10試合に出たとしたら、さらに100万円ぐらいはあっという間に上乗せとなる。中学、高校とゴルフ部に入ったり、ゴルフスクールに行ったりするとなると、それに伴う費用は倍々に膨らんでいく。中学生、高校生などは、年間に10~15試合程度は楽にこなすし、実力が付いてくればプロの大会にアマチュアとして出場するようにもなる。世界大会にも出場するようになるだろう。レベルアップするにつれて、プロゴルファーへの道、期待が現実味を帯びてくるにつれて、お金がかかってくる。

石川遼の父・勝美氏はその著書で「自分の趣味をすべて中断した」と記している。レッスンプロをしていた宮里3きょうだいの父・優さんは稼いだお金をすべて子どもたちのために使い、母が生活費を捻出していたという。今年の米欧両ツアーの賞金王になった世界ランク1位のロリー・マキロイ(英国)の両親は共働きで息子のゴルフ費用を捻出したという。

そうしたスーパースターたちの成り立ちのことを知ってか知らずか、いまのジュニアゴルファーの親、特に父親は自ら小遣いを減らし、大好きだったゴルフもやめる、という決断をしている方が数多くいる。確かに、自営業で時間があって、お金にも不自由がない家庭ももちろんあるが、取材をしていても「私は〇〇をやめました」という人がほとんど。自分の時間と金を子供につぎ込んでいる。自分の趣味が「子供のゴルフの成長」になっている訳だ。

「子供に夢を」がしぼんでいかないことを願いたいが、プロゴルフの世界で成功しているのはほんのひと握りという現実は、いまも昔もそう変わっていない。ゴルフ以外にも、子供の「習い事」としてお金がかかるものはほかにもあるが、うまくいけば石川選手や宮里選手のような大きな「リターン」が得られるかもしれない、というところが、親が子どものゴルフに夢を託す特殊性なのかもしれない。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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