バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢

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ロシアからの原油禁輸措置を発表するバイデン大統領(写真:Bloomberg)

今月末、ハワイ州のコロナ対策緩和とともに、アメリカ全50州で屋内マスク着用義務が撤廃される。ようやくパンデミックの終わりが見え、社会が正常化に向かっていると思われた矢先、ロシアのウクライナ侵攻によってバイデン政権には再び暗雲が垂れこめている。

最大の懸念は、国民の懐を直撃しているインフレが、ウクライナ危機によってさらに高進していることだ。2月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で7.9%の上昇と、40年ぶりの高水準を記録した。国民にとって日々身近なガソリンや家庭用食品の価格はそれぞれ前年比38.0%、8.6%と大幅に上昇した。これらの消費が家計支出に大きな割合を占める低所得者層や中間層への打撃は大きい。

パンデミック沈静化とともに需要が堅調に推移し、夏にかけて自動車の走行距離も増えガソリン需要も増えることが想定される中、インフレの観点からは最悪のタイミングでウクライナ危機は起きた。歴史上、戦争はつねに物価上昇をもたらしてきたが、今回は産油国であるロシアによる戦争である。同危機と各国によるロシア制裁によって、全米のガソリン平均価格は3月14日時点で1ガロン当たり4ドル33セント(日本円で1リットル当たり約135円)まで上昇し、過去最高値を記録した。3月のCPIのさらなる上昇は避けられない。

インフレ悪化を覚悟し、ロシア産原油を輸入禁止に

インフレが悪化しているにもかかわらず、3月8日、バイデン政権はロシア産原油の輸入禁止措置を発表した。ロシア産原油がアメリカの輸入量全体に占める割合は3%と微々たるものではあるが、ロシア産原油の輸入禁止措置がインフレを加速させかねないことを政権は熟知していた。

だが、この苦渋の判断を下した背景には、議会からの圧力があった。議会では超党派でロシア産原油の輸入禁止措置を可決することが確実視されていたため、議会圧力に屈したと見られる前にバイデン政権は先手を打ったようだ。バイデン政権は、ウクライナ侵攻を止めないプーチン大統領に対し弱腰の姿勢を国民に見せるわけにはいかない。

11月の中間選挙でインフレは最大の争点になるとの見方が支配的だ。そのため、自らにとってこの問題を有利に働かせようと、民主党と共和党はインフレに関してまったく異なる角度から主張を展開し始めている。

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