バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢
バイデン大統領の支持率が低迷していることから、現状、民主党は中間選挙での大敗が予想されている。民主党が特に下院で多数派を維持するには、残り約8カ月で奇跡の挽回を必要とする。ロシアのウクライナ侵攻は深刻な人道危機ではあるが、民主党にとっては巻き返しを図るチャンスが到来したともいえる。
バイデン大統領は2月のCPI発表後、インフレ高騰について、「プーチン大統領のウクライナ侵攻が要因」と主張。ホワイトハウスのケイト・ベディングフィールド広報部長は「#PutinPriceHike(#プーチンによる値上げ)」とSNS上でキャンペーンを展開している。民主党支持者の間では、プーチン大統領(Putin)とインフレ(Inflation)を繋げた「プーチンフレーション(Putinflation)」といった造語も拡散し始めている。
ABCニュース・イプソス世論調査(3月11~12日実施)によると、ガソリン価格が上昇したとしてもアメリカがロシア産原油の輸入を禁止することを支持するかとの質問に対して、77%の国民が支持している。SNS上ではウクライナ国民が払っている犠牲に比べれば、アメリカにいる自らがガソリン価格上昇で払う犠牲は微々たるものとの声も広がっている。
共和党はバイデンの「対エネルギー戦争」を批判
一方、共和党議員の多くもロシア産原油の禁輸措置は支持しているものの、ウクライナ危機はエネルギー価格上昇の主因ではないという立場だ。共和党はインフレの責任はプーチン大統領ではなく、バイデン大統領にあると、大統領の責任追及に注力している。つまり「プーチンフレーション」ではなく、引き続き「バイデンフレーション(Bidenflation)」だと主張している。
バイデン政権の化石燃料に対する厳格な国内政策「対エネルギー戦争(War on Energy)」こそ、インフレの主因だと主張しているのだ。共和党はバイデン政権が発足以降、キーストーンXLパイプライン建設阻止や環境規制強化など、気候変動対策を重視してきたことを理由に挙げている。
選挙で共和党議員を支援する全国共和党下院委員会(NRCC)は、今月、「ガソリンスタンドでの痛み(Pain at the pump)」と題するテレビCMの放送を全国の激戦選挙区で開始。同CMではガソリン価格の高騰をバイデン大統領や各選挙区の民主党議員に関連づけ、民主党がアメリカのエネルギー産業を台無しにしたと訴えている。
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