バイデン政権「プーチンフレーション」説は不人気 「インフレ」をめぐる責任論争では共和党が攻勢

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だが、そもそもアメリカのガソリン価格動向は国内の原油生産量よりも世界の原油価格との相関関係が強い。また、共和党が主張するバイデン政権の「対エネルギー戦争」がインフレにつながるとの話は一理あるが、国内での増産が容易でない理由は、より複雑だ。

社会がESG(環境、社会、企業統治)重視に急速に変貌を遂げる中、近年、化石燃料への新規投資には、経済界、とりわけ金融業界が慎重になってきている。また、共和党は国内でのシェール生産拡大を主張しているが、仮に企業が増産すると決めたとしても、労働力や掘削装置、資材などの不足から、実現は最短で半年後だという。民主党が主張する再生エネルギー推進による国内エネルギー供給の拡大には、長年を要する。

バイデン大統領がガソリン価格上昇に対して、「現時点では、ほとんど何もできない」と語るように、政権に残されたオプションは限られる。そこで、有力視されているのが他国の増産に頼ることだ。

他の専制主義国家に頼らざるをえない

イラン核合意の再建交渉を急ぐほか、対ベネズエラ制裁の解除、サウジアラビアなどによる増産協力などが想定されている。アメリカでは民間企業が中心となってエネルギーを生産しているが、これらの諸国では国営企業が生産をになっており、国の方針で増産が容易である点にバイデン政権は期待している。

ところが、頼りにしようとしているこれらベネズエラ、イラン、サウジアラビアなどはいずれも専制主義国家であり、国内の超党派による反発は避けられない点が、バイデン政権には弱みとなる。

共和党はすかさず、民主党は専制主義国家のロシアからの原油輸入を禁止する一方、他の専制主義国に増産を懇願している、と批判を始めた。ベネズエラ産原油輸入拡大協議に対しては、ベネズエラ移民が多いフロリダ州で、共和党のマルコ・ルビオ上院議員だけでなく、2022年中間選挙でその対抗馬と目される民主党のバル・デミングズ下院議員も、強い懸念を表明しているのだ。

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