トヨタ「MIRAI」が圧倒的にすごい2つの理由

世界初の量産燃料電池車に乗ってみた!

燃料電池の中身は、370枚のセルから構成されている。単位セルあたりの発生する電力は0.6〜1kW。それをDC-DCコンバーターで昇圧して、ハイブリッドと同じ電圧にすることで、パーツを共有してコスト削減をはかった

が、結局のところ、徐々にハイブリッド(HV)、EV、PHV(プラグインハイブリッド)といった電気じかけのクルマに話題が移行してしまい、FCVのことは宙に浮いてしまっていた。そこにきて、突如、トヨタが実用化を掲げたのだから、自動車メーカーは洋の東西を問わず大騒ぎになった、というワケだ。

「コストダウン」「小型化」という2つのすごさ

いささか前置きが長くなったが、そんな背景を知った上で、今回、トヨタが発表したミライには2つのすごさがある。1つめは、10年ほど前なら億円単位、安くなってもウン千万円と囁かれてきた燃料電池車の価格を、700万円強までコストダウンをしたこと。2つめは、燃料電池システムを乗用車に積めるサイズまで小型化したことだ。

実際、全長4890×全幅1815×全高1535ミリメートルのコンパクトなボディサイズのミライに燃料電池システムが収められているのは驚異的だ。さらに購入補助金が202万円となり、グリーンカー税制やエコカー減税も活用すれば、実際の支払いは520万円程度まで下がる。開発にあたっては、ベースとなるプラットホームに加えて、電気モーターやインバーターなどの電気系統のシステムをプリウスと共通にすることで大幅にコストを削った。

500万円といえば、トヨタが2012年に小型SUV(スポーツ多目的車)ベースのEV「RAV4 EV」を発売したときの価格に近い。トヨタにすれば、500万円近辺の価格が市販車と呼べるボーダーラインなのだろう。

筆者は、ひと足先に伊豆・サイクルスポーツセンターでミライに試乗してきた。

ミライを一目見たときの印象は、東京モーターショーで見たコンセプトカーそのもの。正直なところ、フロントビューに踏ん張り感があって男らしいのに対して、サイドビューの上部が流れるようなデザインで、少しばかりチグハグに感じる。

が、それはトヨタの狙いどおりで、ガッと大きな口を開けたようなフロントグリルは空気を吸うイメージを強調し、サイドビューからリアエンドにかけては空気を吸って水を作ることを意識してあえて流れるようなデザインにし、前と横、上と下の印象を変えたのだという。背後に回ると、マフラーからの排気がないので、全部を覆うようなアンダーカバーを備えている。

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