トヨタ「MIRAI」が圧倒的にすごい2つの理由 世界初の量産燃料電池車に乗ってみた!
ドアを開けて、運転席に乗り込むとインテリアは、初代プリウスを見たときと同じように未来感にあふれている。いまでこそ見慣れたが、立体的で明るくて、明らかに他のクルマと違った。ミライでは、サイドからフロントに大きく回りこむようなインテリアが採用されており、一体成型でホールド感を高めたシートとあわせて、包み込まれるような感覚になる。
選べるシートカラーは3色、と国産車としては豊富だ。セダンとはいえ、全高が1535ミリメートルもあることもあって、運転席からの眺めはやや高め。運転席の下に燃料電池システム、後席の下とシートバックの背後に水素燃料を入れるタンクをそれぞれ備えるため、フロアが高い。
いい意味で、「普通」のクルマ
肝心の走りっぷりは、いい意味で、「普通」だった。”夢の未来カー”という期待から、ロボコップのようにギクシャク動く姿を想像すると、プリウスのようにスムーズに走るので肩透かしにあった気分になる。シフトヘッドをDレンジに入れてアクセルを踏むと、154kW/335Nmを生む電気モーターが前輪を駆動して、すーっと滑らかに加速していく。
いちばんの驚きは、従来の燃料電池車で聞こえた「キュイーン」という高周波の音がぐっと抑えられている点。スタビライザーの追加で静粛性を高める効果も狙ったというが、同時に燃料電池システムそのものの静音化に加えて、ボディの補強なども施されている。
試乗コースはアップダウンが激しく、短いストレート以外はタイトなコーナーが続く山道だ。ミライの車体重量は1850キログラムと、サイズの割に重いが、フロアの下に重量物を詰め込み、重心が10ミリメートルも低くなるためコーナリング時の姿勢は比較的安定している。
やや専門的になるがクロスメンバーにモーターを固定し、4本のブレスを追加する構造によって、強度を高めていることもコーナリングの安定感に一役買っている。ブレーキが必要なときにはモーターがエネルギーを回収する方向に働き、一旦は蓄電しておいて、いざ加速が必要なシーンになると放出される。
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