トヨタ「MIRAI」が圧倒的にすごい2つの理由

世界初の量産燃料電池車に乗ってみた!

燃料電池システムに加えて、プリウスと同じハイブリッドの機能も搭載しているため、そんな風にブレーキ時にエネルギーを回生して、バッテリに貯めておくことができる。実際にアップダウンの激しい道を走っていると、頻繁にエネルギーを回生したり、EV走行に切り替えるなど、ハイブリッド車の開発で蓄積されたノウハウが生かされているようだ。

ただし、サイクルスポーツセンターのくねくねとした山道で、虎の子のプロトタイプを壊されたらたまらないという意図も働いてか、横滑り防止装置(ESC)の介入がかなり早いため、スポーティな走行を楽しむには至らなかった。その点は、11月18日の発表会で垣間見せたモータースポーツの可能性に期待したいところだ。

水素タンクの搭載スペースの都合で、足回りの形式は前ストラット式/後トーションビーム式とややクラシカルだが、乗り心地はEVやPHVよりドタバタ感がない。

カリフォルニアでのリース販売もスタート

見た目の好みは賛否両論だろうが、実際に走らせてみた感想は、思いのほか、日常の用途に使えそうな小型セダンという結論に至った。

内装にも未来の車という雰囲気が漂う(トヨタ自動車提供)

残る課題は、いったいどこで燃料となる水素を補給すればいいかだ。水素ステーションは開設予定も含めて、日本全国に41カ所を数える程度に過ぎない。1回の補給で走れる巡航距離は約650キロメートルと、通常のエンジン車並みのため、水素ステーションが複数存在する大都市近郊なら何とかなりそうだ。

一方で、水素ステーションがEVの充電ステーション並みに普及するかといえば、甚だ疑問だ。一カ所設置するのに、数億円の費用が必要となるからだ。また、水素の商用販売にあたっては、1キロメートル走るごとの水素の価格を10円と定める方針のため、ミライでは満タンで6500円と、EVほどエネルギーコストの割安感はない。

現状ではトヨタが受注している大半の客先は官公庁だが、2015年には米カリフォルニアでもリース販売をスタートし、2015年までに700台を生産するという高い目標がある。初期のプリウスと同じように、夢の未来カーにハリウッド・セレブが飛びつく!?などという期待をすると同時に、日本国内ではオリンピックに向けて、燃料電池バスとあわせて燃料電池の普及をインフラ構築と両輪で行う予定もある。

ホンダが時を同じくして燃料電池車を2015年に市販すると発表していることも含め、自動車メーカー同士、インフラ側といった垣根を越え、チーム・ジャパンとして燃料電池車の普及に取り組むことで海外の自動車メーカーの一歩先をいきたいところだ。

(撮影:梅谷 秀司)

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