コロナ禍でも「売れる商品」「売れない商品」の差 効果的に需要予測をするにはどうしたらいいか

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しかし、時系列モデルで精度の高い予測を行うには、
1.どれくらい過去のデータから分析するか(初期値の決定)
2.直近のデータをどれくらい重視するか(パラメーターの設定)
――を適切に更新していく必要があります。

10年前などの古いデータを使うと、季節性が変わっている可能性がありますし、そもそもそんなに長く売り続けている商品は多くありません。一方で、1年分もデータがないとすると、その季節性を把握することはできません。直近のデータを重視し過ぎると、たまたま誤発注で上がった売上を水準の変化と捉えてしまう危険性があります。

逆に過去のデータを重視するほど、直近のトレンドの変化に気づくのが遅くなってしまいます。

初期値とパラメーターーのバランス

つまり、初期値とパラメーターの設定はバランスが重要で、それは業界や商材、場合によっては商品のライフサイクルの段階によってもさまざまだということです。単に過去の実績と適合しているからと信じるのではなく、その背景を解釈して予測モデルを管理するスキルがないと、モデルが示す数字にふり回され、中長期で高い予測精度を維持することはできません。

また、ここからわかるように過去データが必要で、月や週単位くらいの需要予測では、少なくとも2年分以上が必要になるといわれます。大きな環境変化があった場合に気をつけなければならないのは、初期値やパラメーターを大幅に見直す必要が出てくるということです。

例えば化粧品では、口紅はマスクの使用が日常化したことで需要が縮小しました。また、渡航規制によって訪日中国人が激減し、春節や国慶節といった大型イベント時の需要も見られなくなりました。結果、新型コロナウイルス発生前の過去データは、使えないどころか、逆に予測をミスリードするものとなってしまったのです。

需要予測のモデルには、時系列モデルの他に、需要の因果関係を踏まえる因果モデルや、不完全、少数のデータでも扱える判断的モデルなどがあります。しかしこれらのモデルを整備し、使いこなせている企業は多いとは言えない状況です。

時系列モデルも含め、導入直後から使いこなして高い精度を維持することは困難です。各業界、ビジネスモデルに合わせて必要なデータや使い方をアレンジすることが必要であり、それには時間がかかることに注意すべきでしょう。そのためには世界で研究されてきたさまざまな予測モデルを知り、日ごろから実務の中で試していくことが有効です。

外資系企業の参入やサプライチェーンのグローバル化によって、市場の不確実性が高まっています。またいつ、ウイルスや自然災害によってビジネス環境が激変するかもわかりません。

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