「安心」や「買い物の楽しさ」を磨き、グーグルと差別化する--田中実・カカクコム社長
グーグルに対抗したところで、グーグルは検索結果を変えることができる。それに対してわれわれは抵抗する手段がない。
したがってグーグルをブロックするよりも、グーグルより使いやすく、役に立つサイトを作り、買い物をする場合には必ず来てくれるような、大きな影響力を持つことを目指すしかない。価格.comの月間利用者数は3000万人弱だが、これを5000万人まで引き上げたい。
SNSやツイッターなど、ソーシャルメディアには期待をしている。まだまだソーシャルメディアからの流入はわずかなものだが、検索への依存を下げるという点では有望だ。ミクシィやディー・エヌ・エーのモバゲー、グリー、facebookといったサービスとは積極的に提携していく考えだ。
--カカクコムで手掛ける飲食店情報サイトの「食べログ」が、利用者ベースで「ぐるなび」を抜いた。ただ、モバイル版の一部機能を有料化したことで、利用者の大きな反発を買っている。また、認知度ではまだまだ、ぐるなびに及ばない。
モバイル版の一部の機能を有料するに当たっては、利用者への説明が粗かったことは反省している。だが、モバイルでも、これからも無料ユーザー向けのコンテンツは強化していく。
モバイルビジネスの課題は、収益化が難しいことだ。パソコンでは広告を配置することで収益化できる見込みがあり、対利用者で有料化する考えはない。しかし、モバイルの場合、画面が小さく、広告を配置することが難しい。そのうえ、モバイル向けの広告は、あまり食べログのコンテンツにふさわしくない内容が多い。広告モデルを指向すると、利用者にとってかえってマイナスになってしまう。
コンテンツにふさわしくない広告を掲載するよりも、使い勝手をよくすることで利用者からおカネをいただく形にしたほうがいいと判断した。有料会員の画面には広告は掲載していない。