混乱の金融市場「想定すべき次のシナリオ」の中身 経済アナリストが語るウクライナ危機の影響

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豊島逸夫(としま・いつお)/1948年生まれ。一橋大学卒。邦銀を経てスイス銀行外国為替貴金属トレーダーなど。現在は独立系の立場から経済情報を発信

もう1つの心配は中国の出方だ。今のところ中国は、どっちつかずの状態にある。

私は中国の銀行のアドバイザリーを7年間務めた経験による人脈で、日々中国から情報を入手しているが、彼らも読み切れていない。だが、全国人民代表大会(全人代)終了後の最新情報では、さまざまな分野で中国とロシアの協調路線をにじませていくようだ。

中国とロシアは、アメリカの通貨覇権に対する挑戦をあからさまに示している。ロシアは2014年のクリミア危機以降、外貨準備を増やしてきた。

金の保有量はすでに2000トン以上になったので、昨年からは中国の人民元を増やし、中国に歩み寄っている。中国は、苦渋の決断ながら、ロシアと組んでアメリカを敵にする、ということになるとみている。

新冷戦時代に突入なら日本への投資は新興国レベルに

こうした最悪のリスクシナリオが進んだとき、日本はどうなるか。アジアの決済通貨は人民元への傾斜を強めるだろう。

日本円はローカルな通貨となり、円安が一段と進むことになる。通貨の力は、結局は国力によって決まる。これまで日本はアメリカの後ろ盾があったので世界の投資家から資金を集めることができた。

もし新冷戦時代に突入して、日本がスルーされ頭越しに事態が進行すれば、日本への投資は新興国への投資と変わらないぐらいのリスクになるだろう。

ここまでの話は、可能性は低いが、起こらないとは言えないテールリスクとして考えていること。メインシナリオとして考えているのは、もう少しマイルドなものだ。

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