「福島原発事故の検証」がコロナ禍こそ重要な理由 事故10年検証が問う危機管理体制のあり方

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福島原発事故から10年を経て、新型コロナ危機でも政府の危機管理体制が再び議論の俎上に上っている。自民党や民間など、多くの提言において、政府の危機管理における司令塔機能の強化が謳われている。

岸田首相も、昨年12月の所信表明演説で、「これまでの新型コロナ対応を徹底的に検証します。来年の6月までに、感染症危機などの健康危機に迅速・的確に対応するため、司令塔機能の強化を含めた、抜本的体制強化策を取りまとめます」と、危機管理体制を強化する意気込みを語った。

福島原発事故を受けた政府の会合では見送られたものの、やはり、国として一体的な危機対応を可能とする司令塔機能の必要性が改めて認識されたということなのであろう。

新型コロナ危機の1つ前のパンデミックである2009年の新型インフルエンザ・パンデミックの際には、翌2010年に、「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議 報告書」というものが出されている。

新型コロナ危機の第1波について検証した「新型コロナ対応・民間臨時調査会」によれば、2010年の同報告書を受けて、新型インフルエンザ等特別措置法(特措法)という仏は作ったが、危機意識が広く共有されなかったために魂が100%入ったわけではなかったという。

また、提言が実現されなかったために、新型コロナ危機で同じことを繰り返してしまったような事態もあったということだ。その中の1つとして、国における「迅速・合理的な意思決定システム」の構築という、いわゆる政府の司令塔となるような機能の構築を示唆する提言もある。

大東亜戦争でも「戦争調査会」

大東亜戦争という国の存亡を揺るがした危機に際しても、国の対応を検証すべく、「戦争調査会」というものが設置されている。

大東亜戦争敗戦直後の1945年10月、幣原内閣は「敗戦の原因及実相調査の件」を閣議決定した。

「大東亜戦争敗戦の原因及実相を明らかにすることは、之に関し犯したる大なる過誤を将来に於て繰り返さざらしむるが為に必要なり」と述べたこの閣議決定に基づき、再び戦争の過ちを犯さないよう、政治・外交・軍事・経済・思想・文化などの複数の側面から、戦争を検証するプロジェクトを発足させたのである。具体的には、幣原内閣は翌11月に「大東亜戦争調査会官制」を閣議決定し、敗戦の原因と実相を調査に専従する政府部局を設置した。

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