図で読みとく!「消費増税」に関する大誤解 日本の借金は世界最悪と言うけれど……

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本の場合、この借金の比率が高くなっていますが、これはGDP増加率よりも国債残高増加率が多いこと、つまり、新規国債の発行分、分子そのものが肥大化していることを示します。

日本は、歳入で国債発行をする一方、歳出で利払い・元本返済を行っています。両者の差額が、新規国債分として積み上がり、結果としてこの比率が上がり続けているのです(差額がないことを、プライマリー・バランスがゼロと言います)。

そうなると、「国が借金を返す能力を投資家に疑われると、貸し手がいなくなって国の財政は破綻する」と言われるのです。

しかし、この「日本の借金が世界最悪」というのは、同時に「資産は世界最高」を意味するのです。まったく逆のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、「日本の借金」=「国民の財産」なのです。いったいなぜでしょうか?

政府の借金=国民の財産?

では、国民所得を生産・分配・支出の三面から表した「三面等価図」を見てみましょう。この図では、GDP(国内総生産)=GDI(国内総所得・分配)=GDE(国内総支出)と、3つすべてが等しくなります。誰かの儲けは、誰かが払った額で、誰かの所得なのです。

所得の総額(GDP)をYで表します。これは分配(所得GDI)とも等しくなります。その内訳は、消費(C)するか、税金を払うか(T:公的保険含む)、貯蓄(S)するかです。個人、企業、自治体に回っても、最後は同じです。

総所得のうちのSは、財布の中のカネ・民間保険・預貯金・株・債券投資など、消費しなかったカネすべてを示します。

支出の観点からも見てみましょう。GDP(Y)は、誰かが支出した総額(GDE)とも等しくなります。一人ひとりの消費者を示す家計(C)、企業(I)、政府(G)、海外との輸出入(EX-IM)が、それぞれ支出しています。

次ページ国債は負担を将来に転嫁しない!
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事