今度は宮崎「餃子日本一」あちこちに誕生するなぜ 日本中で餃子が愛されるようになった理由5つ

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現存する最古参の宇都宮餃子を出す店は、1958年に創業した「みんみん」(現宇都宮みんみん)。前身となる「ハウザー」を昭和20年代に始め、餃子も販売している。

『中国料理と近現代日本』(岩間一弘)によると、創業者の鹿妻三子(かづまみね)は、国鉄勤務の夫が戦時中に転勤したことから北京に住んでいた。現地でお手伝いさんに教わった中国家庭料理が、餃子だった。中国ではタレにニンニクのすりおろしを入れていたが、みんみんでは肉の臭みが出ないように、ニンニクを具に加えた。匂いが出ないよう工夫してあると同店ウェブサイトにある。

宇都宮餃子は一般的に、肉やニンニクは少なく、ニラ・ネギ・白菜やキャベツなどの野菜がたっぷり入る。しょうゆを使わず酢とラー油をつけて食べるのが一般的。水餃子なども人気がある。

浜松餃子の特徴は?

一方、浜松餃子は、キャベツ・タマネギ・豚肉のハーモニーに特徴がある焼き餃子である。浜松市は2007年に政令指定都市に選ばれ、翌年から家計調査の対象になったことから、餃子人気が裏付けられた。浜松市には、餃子愛好者たちによる浜松餃子学会があり、毎年浜松餃子マップを作成している。

ウェブサイト『にっぽんの郷土料理観光事典』によれば、浜松餃子の始まりは、中国からの帰還兵が店を出し始めたこと。戦後の物資不足の中でも手に入れやすい、小麦粉、肉、野菜を材料としていたことが、開業しやすい要因だった。

宮崎市は近年餃子消費が上昇していた。焼き餃子協会の調査では、2020年の上半期に購入頻度・支出金額が日本一となっていた。人気ぶりを受け、2020年に業者団体の宮崎市ぎょうざ協議会が発足、毎月3日を餃子の日とする販売促進を県内で行う、『宮崎餃子本』を作るなどして餃子の町として盛り上げ始めている。2016年6月11日付のWeb女性自身が、2015年の家計調査で3位に躍り出たことを報じ、満州帰りの人が広めた歴史を発掘している。宮崎餃子に決まった特徴はない。

餃子が人気の理由は、こうしたトップ3の事情に隠されている。考えられる要因は5つある。

浜松の歴史で判明した、材料が手に入りやすかったという点は重要である。町中華の歴史とも共通するからだ。『夕陽に赤い町中華』(北尾トロ)によれば、ラーメンや中華料理の店が続々と開業されたのも、和食より材料が手に入りやすかったから。大きかったのはコメ不足。戦時体制下で生産力が落ちていたところへ、1945年、1946年の凶作が追い打ちをかけた。

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