精神疾患と診断された人が「薬漬け」の異常な現実 向精神薬の強制投与は過度に鎮静化させる「拘束」

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「最低限の量と最低限の副作用で日常生活を送るのがいちばんいいが、基本的にその薬が効く場合は最大量まで増量される。そして飲まなくなったら、同じ状態になると脅される」

堀合さんは、症状が安定していた時期にもかかわらず、医師に薬を飲んでいないという疑いをかけられ、再び入院をさせられた経験がある。「処方された薬を飲むしかないため、患者側には自由はない」と堀合さん。

「患者は、何かしらの心理的な要因や環境的な問題があって苦しんでいる。しかし、医師はそちらへの働きかけをしないまま、薬によって解決しようとする。副作用が出るとそれをやめて別の薬は出してくれるが、その薬にも副作用がある。医師は病気の再発を防ぐことを優先して減薬しようとしない。もっと個々人の副作用や当事者の生活に目を向けてほしい」(堀合さん)

アスペルガー症候群と診断され、10代のときから向精神薬を飲み続けている21歳の加藤詩織さん(仮名)は、薬の量を減らせないことが悩みだ。年々薬の量は増えているが、薬を飲んでも眠れない日が続き、昼頃までだるさが残る。これまで摂食障害と自傷行為で、精神科病院に3度入院した。その後、薬の量を減らしたくても減らせないという。

「飲むのを勝手にやめたときもあったが、主治医に『自分で服薬の管理ができないなら、入院して薬を飲む習慣をつけることになる』と言われた。入院はもう嫌だからまた飲むしかありません」(加藤さん)

医師の処方にチェック機能が働かない

精神科の薬物投与は1人の医師によるもので、そこにチェック機能が働きにくい。本来ならば、薬剤師が医師の処方に対して疑問点や不明点を確認する「疑義照会」がチェック機能になるはずだ。しかし、「疑義照会は形骸化している」と複数の医師や薬剤師が口をそろえる。

医師がピラミッドの頂点にいる医療界では、その力関係から薬剤師が医師の処方に口を出すことははばかられるからだ。医師同士であっても、互いの処方をチェックすることはない。

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