「電車の中でスーツケースを持った人たちでいっぱい。ショックをうけた」。ドイツ・ニュルンベルク市に住むある女性は休暇を使い、夫と子どもを連れて実家のあるルーマニア・ブカレストへ向かう途中に見た風景に驚いた。3月3日のことだ。
ルーマニアはウクライナの隣国で、列車に乗っている人たちのほとんどが国を脱出してきた人たち。ブカレストとキエフの距離は車で1000キロ程度の距離だ。彼女はウクライナ侵攻が始まった頃から、ルーマニアに避難者が増えることは予想していた。
ロシアによるウクライナ侵攻から1週間。グローバル化した世界では経済やスポーツなどその影響は日本を含んだ多くの地域に及んでいる。一方、ドイツなどロシアやウクライナから陸続きにある地域は、より広範な影響が及んでいる。
ロシアとウクライナの姉妹都市多いドイツ
ドイツの場合、外国籍の人の数は人口の約12%(約1140万人)だが、ドイツの国籍を取得したり、国籍がドイツでも外国になんらかのルーツのある人も含めた「外国系」の人の割合は25%程度に上る。その中で、ロシア国籍の人は約23万5000人、ウクライナ国籍の人は約13万5000人(2020年12月現在、連邦統計局)いる。
冒頭の女性のように、ロシアやウクライナの隣国である国の出身者や、縁がある人もたくさんいる(ポーランド:約77万人、ルーマニア:約75万人、ハンガリー:約19万人)。
また、ドイツにはロシアやウクライナの都市と姉妹都市の関係を結んでいる自治体も多い。データは複数あるのだが、ロシアは90、ウクライナは72に上ると見られる。こうしたさまざまな数字を見ると、ドイツがいかにロシアやウクライナ(あるいはその周辺国)と縁が深いかわかるだろう。そして、それゆえにさまざまな影響を受けている人や自治体は少なくない。
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