下がる支持率「維新の会」に吹き始めた逆風の正体 注目度が高まるにつれて問われる「党体質」
維新の狙いが、参院選でも自民支持層に多い保守派の票を取り込むことにあるのは間違いない。「前回衆院選での成功体験に基づく戦略」(自民選対)とみられている。
しかし「自民タカ派と同体質というイメージは、有権者の不信感や拒否感を広げる」(同)ことにつながるリスクも否定できない。
これに先立ち、菅直人元首相の「ヒトラー発言」に維新側が「国際法違反」などと抗議し、謝罪を求めたことについて、政府は2月15日の閣議で「国際法や国内法に違反するか否かについては、答えることは困難だ」とする答弁書を決定した。これについても「岸田政権の維新へのいやがらせ」(閣僚経験者)とのうがった見方も広がる。
そもそも、大阪限定の地域政党から本格的全国政党への脱皮を目指す維新にとって、「偏った政治理念と思想を持つ集団」とのレッテルを貼られれば、「最大の票田の中道的保守層の支持離れにつながる」(国民民主若手)のは間違いない。
維新の新しい顔となった吉村氏の国民的人気の要因は、大阪のコロナ対策での府民優先で機動的な対応への評価だったとされる。しかし、ここにきて大阪の状況は「人口当たり死者数や医療のひっ迫度が全国ワースト」(感染症専門家)とされ、府民の不信や不満が顕在化している。
「大阪組」と一線を画す維新国会議員団は焦り
吉村氏は2月28日、他都府県知事に先駆けて、「感染者数は少し減少傾向にあると思うが、病床のひっ迫は非常に厳しい状態が続いている」として、3月6日が期限となっているまん延防止等重点措置について、政府に「3週間程度の延長」要請を余儀なくされた。これも維新の人気に暗影を投じる結果となりつつある。
こうした状況が、維新内部での動揺や焦りにもつながっているようにみえる。特に、松井、吉村両氏ら「生粋の大阪組」(維新若手)とは一線を画す国会議員団は「超タカ派イメージを払しょくしないと、参院選での得票は先細りになりかねない」(同)と顔をゆがめる。
さらに、「一民間人コメンテーター」としてメディアがもてはやす橋下氏についても、「政治的な中立、公平の観点からは、参院選に絡めての出演要請は自粛すべきだ」(立憲民主幹部)との声も出始めている。
国会での与野党攻防では、国民民主党が突然、政府の当初予算案に賛成した。他党はそろって「参院選後の連立入りを狙った」(共産幹部)と読み「新たな政界再編のきっかけになる」(閣僚経験者)と波紋が広がる。
松井維新代表は「(国民民主が)与党になるというのなら連携はできない。われわれは野党」と苦々し気に非難した。ただ、「出し抜かれた苛立ち」(同)と皮肉る向きもあり、維新の対するさまざまな逆風は当面、収まりそうもない。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら