下がる支持率「維新の会」に吹き始めた逆風の正体 注目度が高まるにつれて問われる「党体質」

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各メディアが実施した最新の世論調査では、岸田内閣がコロナ対応で批判されても、自民は高支持率をキープ。これに対し、衆院選後に維新に大きく差をつけられて低迷してきた立憲民主の支持率がようやく下げ止まる一方、維新は支持率下落がとまらず、複数の調査で立憲民主を下回る結果となっている。

こうした状況について、政界では「自民に代わる新勢力として注目されたことで、党としての危うい体質も露呈した結果」(閣僚経験者)と指摘する向きが多い。維新を攻撃する他党の議員に対する名誉棄損訴訟や、国会での質疑を巡る懲罰動議などの乱発も、「党勢減退への焦りの表れ」(同)と受け止められている。

岸田政権誕生までは、橋下、松井両氏は安倍晋三元首相、菅義偉前首相との太いパイプを誇示し、「与(よ)党」と「野(や)党」の中間の「ゆ党」を自認して、法案処理や憲法改正などで自民と連携してきた。しかし、岸田首相と維新の関係は疎遠とされ、岸田政権誕生後は維新側も「野党」としての厳しい対応が目立っている。

安倍氏の「核共有」論に松井氏も同調

そうした中、永田町に波紋を広げたのが、ロシアのウクライナ軍事侵攻を受けて、2月27日朝の民放情報番組に出演、対談した安倍、橋下両氏の言動。安倍氏がアメリカの核兵器を自国領土内に配備して共同運用する「核共有(ニュークリア・シェアリング)」の必要性を強く主張し、橋下氏とも意気投合したような場面が相次いでいたからだ。

首都キエフの軍事的制圧を狙うプーチン大統領に対し、ウクライナ側の命がけの抵抗で、両国の停戦協議は難航し、長期化、泥沼化も懸念されている。その過程で、プーチン氏は「核使用」をちらつかせて西側陣営に脅しをかけた。情報番組では、これに反応した安倍氏が橋下氏の質問に答える形で、「日本も『核共有』を論議すべきだ」とぶち上げた。

日本の「非三核原則」の抜本見直しを求めるような安倍、橋下両氏の言動には、ネット上でも賛成、反対双方の激越な書き込みがあふれ、炎上状態となった。また、自民党内では安倍氏に近い高市早苗政調会長らがすぐさま賛同。維新代表の松井氏も「昭和の価値観のまま令和も行くのか。議論するのは当然だ」などと同調した。

これに対し、岸田首相は翌28日以降の国会答弁で「非核三原則を堅持するわが国の立場から考えても認められない。(政府として)議論することも考えていない」と明確な表現で否定してみせた。

大論争の端緒となった安倍、橋下両氏の発言は、内容的には必ずしも完全に一致しているわけではなかった。しかし「多くの視聴者は、(両氏が)事前に打ち合わせた上での発言と受け止めたはず」(民放テレビ幹部)との指摘が多い。

この問題で安倍氏に同調するのは、自民党内のいわゆるタカ派グループが多い。このため、「維新の立ち位置は自民の保守派と同じ」(自民長老)との印象が、国民の間にも振りまかれる結果となった。

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